2022年4月に日本医学会連合からフレイル・ロコモ克服のための医学会宣言が発表されましたので紹介します。このコラムでも何回か取り上げてきましたが、改めておさらいすると、フレイルは2014年に日本老年医学会がFrailty の日本語訳として提唱し、老化に伴い抵抗力が弱まり体力が低下した状態で、2007年に日本整形外科学会が提唱したロコモ(ロコモティブシンドローム)は関節など運動器の機能が低下して移動が困難になる状態です。生活機能が低下し、健康寿命を損ねたり、介護が必要になる危険が約4倍高まります。身体的、精神・心理的、社会的問題を含む包括的な概念であるフレイルに対し、ロコモは 運動器の障害に焦点を絞っている点に特徴があり、概念としては身体的フレイルの中にロコモが含まれます。また対象年齢の違いがもう一つの特徴であり、フレイルでは高齢者を主 なターゲットにしているのに対し、ロコモでは年齢を限定していません。(子供のロコモもあります)
4つの宣言は➀フレイル・ロコモは、生活機能が低下し、健康寿命を損ねたり、介護が必要になる危険が高まる状態です。②フレイル・ロコモは、適切な対策により予防・改善が期待できます。③私たちは、フレイル・ロコモ克服の活動の中核となり、一丸となって国民の健康長寿の達成に貢献します。④私たちは、フレイル・ロコモ克服のために、国民が自らの目標として実感でき実践できる 活動目標として80歳での活動性の維持を目指す「80GO(ハチマルゴー)」運動を展開します、になります。フレイルの特徴として、疲れやすくなる、活動量が少なくなる、筋力が低下する、動作が遅くなる、 体重が減るがあり、これら5つの徴候のうち、3つ以上に該当する場合がフレイル、1-2つに該当する 場合がプレフレイル(フレイルの予備状態)で、口腔機能が徐々に 低下して生じるオーラルフレイルも含まれます。ロコモの判定には「立ち上がりテスト」、「2ステップテスト」、25個の質問票 「ロコモ25」により、ロコモが始まっているロコモ度1、ロコモ度2、ロコモ度3に分類されロコモ度3は「運動器が原因の身体的フレイル」に相当します。このような医学会全体での提言は珍しいことで、医学会が総力を上げて国民にフレイル、ロコモの概念を浸透させて健康寿命の推進に貢献するという決意表明と考えます。今後80GO(ハチマルゴー)がキーワードになるので記憶にとどめていただけると幸いです。