第96回 ロコモティブ症候群は何歳から増加するか?

ロコモティブシンドロームは運動器の障害のため、移動機能が低下した状態で、重症化すると要介護状態になり、疫学的には約7000万人いると推測されています。このコラムでも中高年のみでなく子供のロコモも増加していることをお話ししました。東大の山田先生らの論文で8000人以上の日本人の結果が報告され、40歳以上では1歳ごとにロコモ になる危険度が高くなるという結果でした。BMI25以上の肥満、18以下のやせ、女性、高血圧、糖尿病、運動習慣(週に数回の運動)がないと、ロコモ の危険度が有意に高いことも報告されました。40歳という年齢、いわゆる働き盛りの中年からロコモ の危険度が高くなることは、社会人となり仕事中心、家庭中心の生活習慣で運動習慣がなくなることへの警鐘とも言えます。運動習慣はエレベーター移動を階段に変える、早足で歩く、散歩するなど行動変容により徐々に自分の生活時間の中に組み入れていくことが可能ですので、このコラムが、あなたの行動を起こす一歩になれば幸いです。ちなみにロコモ の予防としてロコトレ(片脚立ち左右1分を一日3セットとスクワット5-6回を一日3セット)を推奨しています。

 

 

参考文献 

Yamada K, et al. BMC Geriatr. 2021 Nov 19.

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。