膝や股関節の軟骨がすり減って痛みや日常生活に支障をきたす変形性膝関節症や変形性股関節症は日本のみならず世界的にも多い疾患です。世界疾病負担研究のデータを用いて世界195カ国における1990年から2017年の変形性膝・股関節症の疫学的検討が行われた結果、2017年の有病者は約3億310万人で新規発症は約1490万人と推計され、1990年より有病率は9.3%、年間発症率は8.2%上昇した、とする報告をしました。国別には米国、サモア、クウェートが高く、北朝鮮、マダガスカルが最も低かったそうです。日本はというと4400-4800万人と推定され北米やアフリカよりも低く、欧州やアジア諸国よりは高いという結果でした。2014年の厚労省国民生活基礎調査では痛みを有する関節症が1560万人と推計されていますので今回の結果はそれよりもかなり高い結果となっていますが2009年の日本での研究ではX線検査による関節症の有病率が2530万人という結果ですのでこちらに近いと考えられます。性別では有病率と発症率ともに女性に多く、有病率年齢とともに上昇しますが、発症率は男女とも60−64才で多い結果でした。高齢化、女性、肥満が危険因子であり、ヘルスケアの改善とともに変形性関節症の早期発見・早期治療が必要であると述べています。変形性関節症の診断は整形外科が専門ですし、治療は症状に応じて減量、運動療法、投薬、関節内注射、装具療法、手術的治療など様々ですので整形外科にご相談ください。
参考文献:Ann Rheum Dis. 2020 Jun;79(6):819-828
: J. Bone. Miner. Metab., 2009, 27(5), 620