外来で小児の診察で付き添いの両親、祖父母からよく聞かれるのが「成長痛ではないでしょうか?」という質問です。成長痛とは幼児期から学童期の小児期にみられる生理的な四肢(特に下肢)の痛みで、夕方から朝方にかけて(特に夜中)突然下肢痛を訴え泣きだすこともありますが、自然に収まり翌朝は何事もなかったように元気になります。このような症状が続くと親は心配になりますので整形外科や小児科を受診されます。4−6歳に多く、幼児の3人に1人に見られるという報告もあります。19世紀にはリウマチ熱の部分症状と言われていましたが1939 Shapiroが器質的疾患を除外した原因不明の疾患を成長痛と報告しました。1951 Naish が関節のみに限定されない四肢の痛み、少なくても3ヶ月の既往を有する、睡眠などの日常行動を妨げるに十分な痛みといった特徴的疾患として定義しましたが、あくまでも除外診断になります。疲労、下肢・足部の変形などは関連性がないとされ、疼痛部位をさすったり温めたりする積極的スキンシップが効果的であること、筋肉のストレッチを行うと痛みが収まりやすいことから、痛みの閾値が低い子供が訴える筋肉の牽引痛とする考えもあります。
外来に受診されたら、まず痛い部位を診察して腫れや圧痛、関節の可動域、
歩容を確認し、必要に応じてX線検査、超音波検査を行います。骨折、感染(骨髄炎)、腫瘍、股関節炎、若年性関節リウマチ、血液疾患などが疑われる場合にはMRI検査や小児科紹介を行います。成長痛と診断した場合には両親には痛いときにスキンシップしてあげることをお勧めしていますが、MRI検査をお勧めする場合もありますのでまずは整形外科に相談してみてください。