スポーツ傷害でのケガが生じた際の応急処置として従来RICE処置が原則であると言われてきました。RICEとはRest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(患肢挙上)の4つの処置のことを言います。冷却の方法としては損傷部位にタオルなどで覆ってから氷嚢(冷却器)などで20分冷却を間欠的に繰返します。冷却することで腫れや痛みを軽減する効果もあります。氷を入れる際のコツとして氷を入れたアイスバック(またはビニール袋など)の空気をできるだけ吸い出してできるだけ真空状態にすることです。圧迫は弾力包帯などで損傷部位を適度に圧迫することで出血や腫れを縮小します。患肢挙上は損傷部を心臓より高く上げることで腫れを予防します。次にRICE処置にProtection(保護:ギプス、装具で損傷した組織を保護する)を加えてPRICEという概念が提唱されました。さらに最近(2012年にBleakleyらが提唱)ではPOLICEという概念が提唱されるようになりました。POLICEはProtection、Optimal Loding、Ice、Compression、Elevationの頭文字からなります。Optimal Lodingとは適切な負荷と言われており、必要以上に安静、固定をすると筋肉の萎縮や関節の拘縮などの弊害が生じることがあるので適度な運動を早期から行うことで筋肉の萎縮を予防し、組織修復の質を改善することが期待されます。しかしながら適切な負荷は損傷の程度や受傷したときのエネルギーの大きさによって異なりますので設定が非常に重要になります。まだそのエビデンスが確立されていませんのでできれば整形外科で医師、理学療法士の指導の下行うことが望ましいと思います。今後このPOLICEが応急処置の王道となると考えられますので紹介しました。
参考文献
Bleakley CM, Glasgow P, MacAuley DC. PRICE needs updating, should we call the POLICE? Br J Sports Med 46:220–221, 2012.