山口県臨床整形外科医会教育研修会
2024/10/20
10/10 山口グランドホテルで山口県臨床整形外科医会教育研修会があり現地参加しました。産業医科大学整形外科講師の塚本学先生の「重症骨粗鬆症に対する骨粗鬆症管理:骨を強くする上で骨リモデリングは大事‼︎」の座長を担当しました。脊椎固定術と骨粗鬆症に関する世界初のベストプラクティスガイドラインで手術前に骨リモデリングを促進する薬剤を選択することを推奨されたことを紹介されました。脆弱性骨折が生じた時に骨強度が低下しており骨折後2年間以内に骨折リスクが高く早期に治療開始することが重要であるとのことでした。骨リモデリングは破骨細胞と骨芽細胞のインバランスやアンカップリングにより骨量減少が生じるメカニズムをわかりやすく教えて頂きました。骨強度の向上には骨密度と骨質を上げる効果のある骨形成促進剤剤がよく、テリパラチド、アバロパラチドはリモデリングメインであり、ロモソズマブはモデリングメインの薬剤です。ロモソズマブは骨形成は数ヶ月は上昇し石灰化度が上がりますが骨吸収は抑制されています。HRpQCTを用いた臨床研究ではテリパラチド投与後は骨微細構造が変化しますがロモソズマブは骨微細構造には影響がない結果を示されました。ロモソズマブは骨密度上昇速度はテリパラチドより早いですが骨折抑制効果は同等とのことでした。骨質という点においては骨リモデリングを促進するテリパラチド、アバロパラチドを治療初期に投与することを推奨されました。その後に逐次療法として骨吸収抑制剤(特にデノスマブ)を使用することで骨密度上昇と骨折予防効果が持続すること、3年以内の使用後はゾレドロン酸で代用できるそうですが3年以上のエビデンスはないとのことでした。
次に大阪医科薬科大学整形外科大槻教授の「膝関節温存治療の現状と展望」を拝聴しました。変形性膝関節症のメカニズムと保存的治療、膝関節温存治療(軟骨移植、骨切り手術、人工関節単顆置換術)半月板移植術についてお話しされました。膝伸展筋力30-40%の増加すると疼痛改善に有効とのことでした。外側楔状足底板は7-15mmが推奨ですが足関節や股関節の可動域も重要とのことでした。変形性膝関節の研究結果より高齢者でも軟骨は自己修復する可能性を持つことをお示しされました。再生医療の一つで自費治療のPFCーFDの関節内注射の効果について運動習慣がある方が優位であることも示唆されました。半月板切除は膝軟骨損傷を助長するので最近は半月板縫合術が主流で半月板scaffoldというコラーゲン移植がありましたが先生はグンゼと協力して人工硬膜に使用されていた材料scaffoldを移植する方法で修復された結果と将来性のあることを提示されました。