院長ブログ – ページ 78

7/14,15で神戸で開催された日本臨床整形外科学会に参加しました。今回私は二演題発表をしましたがやはり最新の知識を吸収することも目的としています。まず大阪大学整形外科の中田研先生のスポーツによるメカニカルストレスと炎症・関節痛を拝聴しました。スポーツにおけるメカニカルストレスについて、力学的ストレスがかかると過度にかかると疲労骨折など生じ、かからないと骨粗鬆症、サルコペニアなどに陥ることを実験で証明された結果を述べられました。ヒト半月細胞の力学ストレス実験により細胞骨格が変化するとのことでした。運動器疼痛にサブスタンスP、サイトカイン、プロスタグランジンE2、神経成長因子(NGF)などが関与しますが、力学負荷でマトリックス分解酵素の遺伝子発現が亢進し、プロスタグランジンE2の濃度は上昇するとのことでした。力学的負荷が加わるとMMP、ADAM、炎症物質が上昇して疼痛、IL6,8による滑膜炎が惹起され細胞外マトリックスが破壊され変形性関節症が発症するメカニズムを教えていただきました。半月板損傷の手術は以前は切除術が行われてきましたが二次的な変形性膝関節症を引き起こすことからなるべく温存するようになっています。前十字靭帯断裂の手術の約半数に半月板損傷の手術も行われていること、さらに新しいコラーゲン半月板を用いた半月板再生医療の実用化に向けての取り組みを紹介されました。

次いで行岡病院手外科センターの正富先生の上肢スポーツ障害の診断と治療の講演を拝聴しました。オーバーユース障害の中でも野球肘が代表的ですが投げ過ぎではなく、普通の投球で発症することが多々あります。コンディショニング低下から悪い投げ方によるそうですので成長に応じたトレーニングを行うことが重要とのことでした。普通の投球そのものがオーバーストレスになってしまう原因をノースローの段階で教育することが大事であることを教えていただきました。フォロースルーで痛いのは後方型野球、疲労骨折(骨端線閉鎖不全)、インピンジメントフラグメントなどが予想されます。インピンジメント対策としてフォロースルーの時に身体に巻きつけるようなフォームを指導するそうです。又ワイピングフェイステストで肩後方タイトネスのある選手が多いので側臥位でのスリーパーストレッチなどリハビリを行うそうです。リハビリしながら復帰をさせると選手の満足度も高いとのことでした。手術は骨棘があるだけでするのではなく、痛みや機能障害の状態を見て手術するそうですが頻度は約1割とのことでした。外反力による野球肘はレイトコッキングで痛くなり、体操選手にも多いそうですができる場所が異なるそうです。ほとんどは内側型で外側型の離断性骨軟骨炎単独は少ないそうです。不安定性のない内側型野球肘もあるので圧痛をしっかり見ることが重要とのことでした。内側型は成長終了時に骨癒合しますが疼痛を再発させないように復帰させること、肩後方タイトネスを改善することの重要性を教えていただきました。

又手関節痛では尺側部痛が多いですが有名なTFCC損傷より尺骨突き上げ、尺側手根伸筋が多く回外強制で疼痛誘発するテストが有効で腱鞘内注射(ブロックテスト)で診断確定するそうです。又有鈎骨こうぶ骨折と豆状骨骨折も鑑別が必要とのことでした。
午後から中条先生の新薬登場で変わるビスフォスフォネート製剤の役割〜医療倫理的観点からみた顎骨壊死問題も含めて〜現在の骨粗鬆症製剤はビスフォスフォネート製剤に代表される骨吸収抑制薬、テリパラチドの骨形成促進剤は骨吸収促進もあり、ロモソズマブの骨形成促進と骨吸収抑制効果のある薬剤に分けられます。テリパラチドは椎体骨折が新鮮例では先でビスフォスフォネート製剤より前に使用し、ロモソズマブはビスフォスフォネート製剤使用されていて効果のない例に使用するという使い分けをされるそうです。ビスフォスフォネート製剤内服が効果のないノンレスポンダーに静注製剤にスイッチする方法もありますがしっかり内服を遵守することも重要とのことでした。テリパラチドは野球に例えるとリリーフではなく新鮮骨折で早めに使用すべきとのことでビスフォスフォネート製剤は中高年で五年でスイッチ考え、デノスマブはロングリリーフ(途中でやめれない)とのことでした。顎骨壊死ですが以前のポジションペーパーでは最初3カ月の休薬を推奨されたのですが最近休薬は必要ないと改訂されましたが歯科医との相互理解が必要であることを強調されました。次いで慶友病院の岩本先生の骨粗鬆症治療におけるビタミンDの効果と役割〜日常診療における血清25(OH)Dの測定の意義を含めて〜の講演を拝聴しました。骨の健康維持のためにカルシウム、ビタミンD、ビタミンKが必要と言われていますがビタミンD充足度は先生のデータでは非充足群が98パーセントでした。(これは私の発表によるデータと一致しています)又慢性的ビタミンD不足は骨折リスクを増加し、治療で使用されるビスフォスフォネート製剤使用例ではビタミンDが不足していると治療効果が不十分とのことでした。天然型ビタミンD投与では効果不十分であり、活性型ビタミンDの方が効果が期待できるそうです。ビスフォスフォネート製剤と活性型ビタミンDの併用はカルシウムサプリメントを併用するより効果がありますが、腎機能高度低下例は高カルシウム血症の可能性があるので脱水に気をつけることということを教えていただきました。


7/12香川大学整形外科の真柴准教授の「テリパラチドの生理的な骨形成促進によって期待できること」のウェブ講演を拝聴しました。私は座長をさせてもらいましたが演者がウェブで繋がっていてその場にいないということで戸惑いました。ロモソズマブで骨形成と骨吸収が同時におこるとされていますが、骨吸収が先行する骨リモデリングは存在しないとのことで、骨形成マーカーの経年作用からテリパラチドは骨形成促進が先行するので骨のリモデリングが期待できる薬剤であるとのことでした。骨のモデリングは骨の成長や自家矯正などですが、テリパラチドによる骨量増加の機序は骨形成と骨吸収が促進することでリモデリングが促進します。又新規椎体骨折発生を最も抑制し、骨量の回復、骨リモデリングの回復、骨質の改善が期待できます。テリパラチドは古い骨の中に新しい骨を作る働きがあり、AGE架橋パターンの改善を期待できます。デイリーテリパラチドの皮質骨の多孔化が問題になりますが先生の動物実験の結果でも多孔化は逆に骨代謝が亢進しているということで力学的に問題はないというで、多孔化が骨髄の近く(骨皮質の内側)にできるので強度的には問題なく新陳代謝が亢進していることを示しているそうです。又研究結果からテリパラチドは大腿骨皮質骨の厚みも増加するので脊椎骨折のみでなく、大腿骨近位部骨折抑制も抑制する論文も紹介され、脊椎前柱の皮質骨も増加させることも示していただきました。又テリパラチドはメカノスタットの閾値を下げて骨に負荷が加わっていることを錯覚させ骨強度を上げる効果も紹介されました。


7/10山口グランドホテルで運動器疼痛治療最前線があり参加しました。山口大学整形外科の関先生が人工膝関節置換術の最近の話題について講演されました。大学で3Dナビゲーションを用いた手術をされているそうですが、術後満足度は2割が満足していないとのことでその対策をお話しされました。術後のアライメントはニュートラルアライメントプラスマイナス3度で行うことが主流だったそうですが、否定的な論文が出てきて次いでキネマティカリーアライメントが出てきて脛骨インプラントを3度内反して入れるそうですが、山大の検討結果ではメカニカルアライメントであれば成績が良いということですが、両者でまだ決着がついていないそうです。又前十字靭帯を温存する方がよい、という論文が出て、前十字靭帯を温存するとインプラントにストレスがかかりやすいそうですが患者満足度は高いそうですが屈曲制限が残ったりすることがあるので適応はケースバイケースとのことでした。又人工膝関節置換術後遷延性疼痛では山大の検討では術後満足度が低いのは術後の疼痛が相関しているそうですが、女性、術前の痛みが長く、術後一週以内の痛みが強いことはリスク因子となり、痛みの中枢感作が関連しておりCSIという問診でできますが簡易版CSI9があり疼痛評価法と相関があり術前、術後のCSIが高いことが術後の痛みの遷延が生じやすいそうです。特別講演で名古屋大学整形外科の今釜准教授が「慢性腰痛の疫学・臨床研究〜腰痛診療ガイドライン改訂にあたって」の講演を拝聴しました。名古屋大学整形外科で脊椎脊髄外科のトップの今釜先生の豊富なご経験も提示されました。名古屋大学の疫学研究では腰痛下肢痛は4割という結果でした。改訂ガイドラインには非特異的腰痛という言葉は安易に使用しないということが記載されていました。又レッドフラッグを見逃さないための骨折、腫瘍、感染、腹部大動脈瘤は見逃してはいけないことをお話しされました。又うつが有ると腰痛発症が2.9倍であること、喫煙・運動不足は腰痛発症のリスクであり、八雲スタディの結果で運動習慣は腰痛、を軽減しQOLを向上し、脊椎のインバランスや膝のインバランスが関連するヒップニーシンドロームという概念を教えていただきました。神経障害性疼痛の有病率は八雲スタディでは10パーセントという結果で脊椎前傾角が増加するとQOL低下に繋がるとのことでした。興味深いのは神経障害性疼痛がなかった住民で5年後に神経障害性疼痛になった方が12パーセントあり、その詳細な検討も教えていただきました。脊髄髄内腫瘍の術後神経障害性疼痛とQOLとの関連、ロコモ度テストと神経障害性疼痛との関連、抑うつと痛みの関連など統計学を駆使した研究について教えていただきました。又名古屋大学のでは慢性腰痛の対する薬は物別治療効果の検討では消炎鎮痛剤、弱オピオイド、トラマドールなどの治療効果、消炎鎮痛剤とプレガバリンの併用効果を前向きにスタディされた結果は有意差は出なかったそうですが睡眠効果や疼痛スコアは短期で疼痛効果を認めたとのことでした。ガイドラインの基本方針は診療で適切な治療・予防についての指標になるものとのことで委員会の苦労話もお話しされました。薬物治療でデュロキセチンは慢性腰痛では質の高い研究が3編あったとのことで消炎鎮痛剤と同等の推奨度であるとのことでした。最後に慢性疼痛治療における治療方針について述べて締めくくられました。


7/7山口県保険医会館で中国四国リハビリテーション研究会がありました。特別講演で小郡第一病院の土井統括院長の講演と徳島大学整形外科の西良教授の講演を拝聴しました。土井先生の講演は徒手筋力テストや評価法について詳細な検討と臨床家としての真摯な姿勢に感銘を受けました。西良先生の講演は腰痛治療のスペシャリストとしての貴重なお話を拝聴しました。
 



6/6生活習慣病ケア講習会が山口市であり参加しました。佐賀医大形成外科の石橋先生が生活習慣病に関連する下肢病変の講演を拝聴しました。石橋先生はフットケア関連学会では有名な方で当院のフットケアマネージャーでもある林リハビリ部長と宮島看護師と納富さんとで参加しました。生活習慣病とは食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒に伴う生活習慣がその発症・進行に深く関与する疾患です。末梢閉塞性動脈疾患は急性と慢性に分類されフォンテン分類2度の間欠跛行から判明することがあり、特に糖尿病性足病変は足に傷が出来やすく治りにくいという特徴があります。足の傷は骨髄炎になっていることもありX線撮影は必須です。足の傷があった時にはまずしっかり洗ってイソジンゲルやユーパスタを使用します。特に糖尿病性腎不全で透析患者さんはサルコペニアで下肢筋力低下がありぶつけたりした傷も治りにくく、末梢から壊疽が始まり、白癬菌から感染を生じるケースも多いので白癬治療も重要とのことで、糖尿病患者の下肢切断率は約8倍で切断後の生命予後も悪いとのことでした。下肢末梢動脈管理加算は透析を扱う施設では普及率が高いそうです。フットケア  ではアセスメントが重要であるということを強調されました。

次いで浜田医療センター循環器内科の松田先生のpolyvascular diseaseの中の末梢動脈疾を拝聴しました。polyvascular diseaseは脳血管、心血管、腎血管、末梢血管の2つ以上の動脈のアテローム血栓症をいいます。末梢動脈疾患の冠動脈合併は30-50パーセントあり、大動脈瘤もでpolyvascular diseaseとのことでした。循環器内科として足病変を見つけたら全身の動脈疾患を精査治療するというスタイルを紹介されました。

末梢動脈疾患患者の薬物治療はシロスタゾールが第1選択であり血管内治療後も投与継続が予後を改善するとのことでした。大動脈から腸骨動脈領域では血管内治療を第1選択としますが大動脈瘤があるときは外科的バイパスがいいそうです。大腿動脈では15cm以上の長い狭窄にはバイパス病変が第1選択ですがそれ以下では血管内治療が選択されますがステントよりバルーンの成績が良いそうです。膝下動脈では重症下肢虚血では血管内治療が適応となりますが開存率は不良だそうですが心血管イベントの回避率が80パーセントぐらいあり介入の価値は高いとのことでした。末梢動脈疾患を発見したら他の動脈硬化の合併がないか?頚動脈狭窄、腎動脈狭窄、冠動脈病変がないかを念頭におくこと、抗血小板療法はアスピリンよりクロピドグレルが有用で血管イベント抑制が目的であるとのことでした。終わってから石橋先生を囲んで当院のスタッフとお話しさせていただき貴重なご意見やアドバイスを頂きました。

7/4山口グランドホテルで第19回山口整形外科フォーラムが開催され参加しました。山口大学整形外科の三原先生が骨粗鬆症における最新の話題について講演されました。初回骨折後の二次骨折のリスクは5-7パーセントで非常に高いので骨粗鬆症の治療が重要です。骨粗鬆症治療薬は新しい薬剤が登場しておりロモソズマブは抗スクレロスチン抗体で骨芽細胞の分化と破骨細胞の抑制されることから骨形成促進と骨吸収抑制作用を併せもち骨密度の上昇が期待されます。ビスフォスフォネート製剤、デノスマブ、テリパラチド製剤の特徴について述べられました。高齢のハイリスク骨折にはロモソズマブ、高齢の中等度リスクではビスフォスフォネートやデノスマブ、若年のハイリスク患者はテリパラチド、若年のノーマルリスクはSERMやエルでカルシトールが第1選択とのことでテリパラチドからロモソズマブへの移行が理想的とのことでした。(高額であるので患者さんとの相談になります)次いで長崎大学整形外科の富田准教授の「われわれが行なっている骨腫瘍切除後の再建法」について講演を拝聴しました。rotation plasty法は骨を短縮して骨接合をしますが歩行能力に優れ患者さんの受け入れが得られれは活動性の高い方にはよい手術であるとのことでした。パスツール法は腫瘍を摘出した後にパスツール処理した液体に浸し再度骨接合する方法ですが合併症として感染や偽関節があります。又骨セメント、パードメッシュを用いた再建法も紹介されました。中々見ることのできない大学病院ならでの画像や手術後の結果を教えていただきました。又腫瘍用人工関節も再手術も含めて勉強させていただきました。悪性骨腫瘍の手術は今は患肢切断ではなく患肢温存してQOLを上げることを最優先される腫瘍専門医の姿勢を垣間みました。懇親会でご挨拶しましたが以前研修でご一緒したことを覚えていてくださって感動しました。富田先生に幸あれ!


6/26山口中央リウマチ研究会が山口市ホテルニュータナカであり参加しました。香川大学整形外科の真柴先生の膝関節症治療と骨粗鬆症治療の接点〜新たな骨形成薬への期待〜の講演を拝聴しました。変形性膝関節症は骨増殖性疾患ですが閉経に伴うエストロゲンの減少が骨粗鬆症と関連するそうです。先生の調査では変形性膝関節症の進行期は脊椎骨折が8割あったそうで、動物実験でも軟骨下骨は低石灰化が存在し骨リモデリングが亢進しているそうです。又進行性膝関節症の患者さんの骨吸収マーカーは亢進したり摩耗の速度が速いそうです。大腿骨の彎曲(外弯)5度以上群がそうでない群より骨密度低値で骨吸収マーカーが高い結果も提示されました。又骨粗鬆症は膝の軟骨下骨変性を促進する、骨吸収抑制薬が軟骨変性を抑制する実験データも提示されました。膝骨切術や骨折後は骨吸収抑制薬は骨リモデリングを抑制する可能性があり、骨形成促進薬が有効で治癒過程を短縮するとのことでした。又膝人工関節の沈下した症例は全て骨粗鬆症であったとのことで骨吸収抑制薬一年以上内服例の方が人工関節再手術例が少なく、術後に内服すると再手術を6割減らす論文もあるそうです。抗ランクル抗体デノスマブは骨代謝を抑制する効果が高く骨密度上昇も高く、骨皮質のモデリングを促進し骨皮質が厚くなり、骨石灰度が上昇(硬さが増す)するが辞めるとオーバーシュートという多発骨折が生じる可能性があるとのことでした。新しい骨形成促進薬のロモソズマブはテリパラチドより大腿骨近位部の骨密度も上昇することが優位な点で皮質骨の強化する作用もあるので今後骨粗鬆症高度例には期待できるとのことでした。


6/25 朝の朝礼の後にスタッフから毎年恒例ですが誕生日お祝いをしてもらいました。メロンたっぷりのケーキとプレゼントをもらって朝から気分良く診療ができました。又名前入りのUSBスティックをプレゼントしてもらいました。感謝、感謝です。又K STUDIO からも私が最近カカオ入りのチョコレートを食べているという情報を得てたくさんのチョコレートを頂きました。こちらも感謝します。新しい気持ちで頑張ります!

6/2310時からパソコンの前で運動器エコーセミナーをウェブで聴講しました。解剖学から見た痛みのメカニズムや末梢神経周囲へのハイドロリリースに必要な基本手技とコツ、末梢神経障害の定義と分類などエコーの第一人者の講師の先生に教えて頂きました。特に金沢医療センターの池田先生のお話で印象的だったのは末梢神経障害の原因は外傷に対する炎症反応により神経の滑走障害が生じ、その後瘢痕が形成され癒着が生じますが、滑走障害にはハイドロリリースが効果がありますが瘢痕には手術が必要とのことでした。午後は下肢・体幹の神経障害、神経外傷をどのようにエコーで診て治療するか?というレクチャーがありました。最後に池田先生の神経癒着の手術について癒着予防にヒアルロン酸の有用性を拝聴しました。


6/22小郡で第7回九州沖縄山口OLS研究会ウェブセミナー山口会場に参加しました。一般講演で獅子目病院の放射線技師の小松原先生の発表がありました。獅子目病院での放射線技師の立場から骨粗鬆症リエゾンサービスの取り組みを紹介されました。ほねっこ外来という骨粗鬆症専門外来で脊椎X線とDEXA、採血などを定期的に行われ治療継続率向上の為チェックシートの活用、放射線技師としてX線写真で骨粗鬆症が疑われたらDEXA検査を本人医師に勧めたりされるとのことでした。次いで山口県立総合医療センターリハビリ科の松下先生が院内のOLS活動という発表をされました。山口県立総合医療センターは整形外科の手術が年間1300件あるそうです。大腿骨近位部骨折は地域連携パスを使用し転院する患者さんには骨粗鬆症の情報を提供して治療継続を促しています。骨粗鬆症リエゾンサービス委員会を立ち上げて地域連携パスの改訂を行い、骨粗鬆症治療歴、DEXAを術後10日目に行い、骨粗鬆症治療のお願いを紹介状に添付されるとのことでした。又術後受診時の骨粗鬆症検査をされているそうです。特別講演として産業医大整形外科の酒井教授の骨粗鬆症に対する治療薬の選択と骨折予防への取り組みを拝聴しました。地域のおける骨折予防への取り組みとして近隣6病院で骨粗鬆症臨床研究をされ二次骨折予防としての薬物治療の徹底、一次予防として整形外科他疾患患者さんの骨密度測定、地域の啓蒙活動により地域での骨折の発生が減らせるか?というスタディをされているそうです。椎体骨折は60パーセント、大腿骨近位部骨折は37パーセントで520例の薬物治療介入の結果、治療継続率が90パーセント、大腿骨近位部骨折継続率は76パーセントと上昇しました。又薬物治療継続後2次椎体骨折は5パーセント、大腿骨近位部骨折は6パーセントで、3カ月以内の骨折が多いという結果でした。又ビタミンD測定の意義ですが25(OH)D欠乏は年齢によらず骨折患者さんの約80パーセントという結果でした。25(OH)D欠乏は(特に長管骨)骨折の危険因子になるそうです。実臨床では骨粗鬆症と骨軟化症を合併したケースが増加するのでビスフォスフォネート投与はビタミンD補充(特に活性型ビタミンD)が重要であるとのことでした。又高齢者の慢性腎障害はミネラル異常と骨代謝異常骨質を合併しCKD-MBD(慢性腎障害に伴うミネラル代謝異常)という概念を教えて頂きました。ガイドラインでステージ3以上ではミネラル異常があれば腎臓内科医と相談して活性型ビタミンD投与では高カルシウム血症に注意して治療する必要があること、薬物治療前に代表面積で補正しないeGFRでの評価が必要であることを教えていただきました。