院長ブログ – ページ 3

8/24山口県立美術館に香月泰男のシベリア・シリーズを観に行きました。以前もシベリアシリーズは観たことがあるのですが、今回は絵と共に解説文をしっかり読むことでシベリアでの抑留生活での内面を感じることができました。ドイツ共生収容所の体験を描いた夜と霧という本を読みましたが、いずれも過酷な環境の中で生き抜くには耐え抜く力、精神力を持っている必要があることを思い知らされました。香月氏の場合にはシベリアの自然を絵に描くという原動力が生き抜く精神力になっていたのだと思います。

8/23 山口市民会館で令和6年度リエイブルメントに関する研究会があり参加しました。山口市医師会郭副会長の挨拶の後、医療経済研究機構の服部真治氏の「リエイブルメントと介護保険・総合事業」の基調講演がありました。リエイブルメントは高齢者が自立して充実した生活が送れるよう支援すると同時に継続的な支援の必要性を適切に減らし、長期的なサービスのコストを軽減する目的で必要なスキルを学習又は再学習することにより身体的又は心理的障害のある高齢者が自分の状態に適応するのを支援するサービスをいいます。地域リハビリテーション活動支援事業としてリハ職同行訪問アセスメント、短期集中予防サービスなどを紹介されました。利用者、支援者のそれぞれが自立の合意形成のプロセスを踏み、地域ケア個別会議で到達目標とサービスの具体的検討を行うことも参考になりました。防府市の総合事業で短期集中サービスを利用することで要介護認定率、介護サービス利用者が約20パーセント減少したことも教えて頂きました。

次いで山口市におけるリエイブルメントの実践についてシンポジウムがありました。山口市高齢福祉課、済生会山口地域ケアセンター湯田温泉病院、山口市地域包括支援センターの方が討論されました。山口市でもリエイブルメントの取り組みとして包括職員だけでなく、リハビリ職や生活支援コーディネーターの多職種連携の取り組みを紹介されました。

当院の盆休みは8/15-17でしたが初日は毎年恒例の健康診断に行きました。済生会山口総合病院で経鼻で胃カメラも異常なく一安心でした。来年も健康に気をつけて一年を過ごします。

8/8 山口市医師会館で第3回山口市骨粗鬆症地域連携協議会がありました。講師は山口赤十字病院整形外科の原口先生が医師-歯科医-薬剤師で共有しておきたい骨粗鬆症の基本知識』について講演されました。骨粗鬆症の基礎知識をわかりやすく説明して頂きました。骨強度は骨密度と骨質からなり骨密度はDEXAで測定可能ですが骨質は現在保険適応がないですが糖尿病、腎臓病、慢性肺疾患患者さんは骨密度正常でも骨質低下が多いと言われています。骨粗鬆症による脆弱性骨折は治療しないと骨折を繰り返し予後が悪くなるのて治療が必要です。骨粗鬆症治療薬についてもわかりやすく教えて頂きました。

続いて元山口赤十字病院歯科口腔外科の上村先生の薬剤関連顎骨壊死の病態と管理 ポジションペーパー2023の読み方と応用の講演がありました。顎骨壊死は歯性感染が原因で、予防的休薬は原則不要で医科歯科薬科連携することが重要とのことでした。

講演後のディスカッションでもフランクな意見交換ができ、骨粗鬆症治療前に未治療の患者さんには特に歯科受診を積極的に勧めることが共通認識になるよう今後も会を継続して行きたいと思います。

8/3 FLS Cafe in Japanがウェブで開催され参加しました。

FLSとは骨折リエゾンサービスで骨粗鬆症による脆弱性骨折した患者さんをきちんとデーターベースに登録して骨粗鬆症治療を継続してくりかえし骨折を防ぐ取り組みの一環です。世界標準の骨粗鬆症性骨折をマネジメントするCapture the Fracture プログラムに登録して患者さんの治療継続していくことが評価されると金銀銅メダルが認証されるので骨粗鬆症リエゾンサービスチームの勲章にもなりモチベーションアップにも繋がるとのことでした。日本版FLS-KPI(重要業績評価指標)の紹介もされ自院における骨粗鬆症治療の評価を目視化できるとのことでした。脆弱性骨折をされた出来るだけ全ての骨粗鬆症患者さんが治療継続することで再骨折予防に繋がる取り組みですので興味深く拝聴しました。

8/1ジクトルテープ講演会が宇部国際ホテルであり第一演者として講演しました。

山口大学整形外科坂井教授が座長で私の講演の後、山口大学整形外科准教授の鈴木先生の講演がありました。私はジクトルテープの使用経験と患者さんの使用後アンケート調査の結果をお話しさせていただきました。

日本医師会からのお知らせです。 

新型コロナウイルス感染症の感染患者が再び、全国規模で拡大し始めています。
この状況を受けて、日本医師会ではこのほど、動画「~釜萢副会長に聞く~今知
りたい!コロナ対策に必要なこと」を制作し、7月31日から公式YouTubeチャンネル
に掲載を始めました。

釜萢敏副会長が「コロナが再流行している要因」「現在流行し
ているウイルス株の特徴」「感染した際にはどんな症状が出るのか」「一度感染
したり、ワクチンを接種していれば感染することはないのか」「感染が疑われた
場合、どうしたら良いのか」「感染した場合の治療法」「感染しないために気を
つけたいこと」などについて、分かりやすく解説していますのでぜひご覧ください。

 

https://www.youtube.com/watch?v=zhBGMMvlI6I

7/20 山口グランドホテルで山口県臨床整形外科医会教育研修会があり参加しました。最初に九州がんセンター整形外科の薛先生の「整形外科医が慌てずにがん患者と向き合うための知識」を拝聴しました。日本整形外科学会骨軟部腫瘍医は学会員2.6万人に対して約180人と少ないこと、整形外科領域のがんは骨肉腫、軟部肉腫が年間2800人ですが転移性骨腫瘍は年間5-10万人とのことでした。がん患者が運動器疾患で移動能力が低下するがんロコモの解説されPS(performance status)低下によるがん治療の中断、予後悪化につながるとのことでした。又骨転移について乳がん、肺がん、前立腺がんが頻度高い、脊椎転移が最も多いSRE (skeletal related event)骨関連事象として病的骨折、麻痺、高カルシウム血症は緊急性(入院)があるので治療先に連絡すること、骨転移の治療として抗がん剤だけでなく骨折予防として骨吸収抑制剤を使用します。又骨粗鬆症治療も重要でがん治療関連骨減少症CTIBLについても述べられ、かかりつけ整形外科医との連携の重要性も教えて頂きました。さらに白血球が抗がん剤投与後2週で最低になる状態(Nadir)や分子標的治療薬による創治癒遅延、免疫療法薬による免疫関連有害事象(irAE)などキーワードを教えて頂きました。

次いで横浜市立大学附属市民総合医療センターリウマチ膠原病センターの持田教授の「RA治療におけるBio製剤の医療経済性について」を拝聴しました。関節リウマチ診療ガイドライン2024MTXで効果ない時にバイオ製剤(IL6阻害剤とTNF阻害剤)又はJAK阻害剤を使用推奨するがJAK阻害剤は副作用等に注意する必要がありバイオ製剤を優先するという記載があることを教えて頂きました。

7/13日本臨床整形外科学会のその後ですが座長のセッションを終えてシンポジウム「薬剤関連顎骨壊死予防とこれからの医師薬連携」のシンポジストとして参加しました。私は医科歯科連携アンケート調査の発表を行いました。顎骨壊死に関して薬剤師、歯科の先生も発表され活発な討論になりました。

ランチョンセミナー後にもう一題骨形成促進剤の発表も無事終わりました。

夕方文化フォーラム「女性とスポーツ〜人生100年への健康寿命延伸に向けて〜」を拝聴しました。松野明美さんと陣内貴美子さんの講演もありました。整形外科医の田中眞希先生の講演では健康日本21においてライフコースアプローチを踏まえた健康づくりについて若年期には運動やスポーツの増進による骨量の増加による最大骨量の獲得、骨粗鬆症治療による骨量低下の治療も必要ですが運動が楽しいと感じることが大事とのことでした。千葉大学の山内先生のロコモのレクチャーがありました。ロコモ度テストでは全て女性がリスク因子になり女性はロコモ対策に気をつける必要があります。ロコトレについてはロコモオンラインに詳しく解説してあるので参照してください

松野明美さんと陣内貴美子さんからはアスリートの時にスポーツドクターに話を聞いてもらい精神面でも支えてくれたことをお話しされました。

7/13熊本市で日本臨床整形外科学会があり参加しました。モーニングセミナーで沖本先生の骨粗鬆症治療で大腿骨近位部骨折・椎体骨折は減るのか?地域における疫学データから整形外科日常診療を科学する、という演題を拝聴しました。大腿骨近位部骨折は欧米では減少傾向にありますが日本ではまだ減少していないのが事実です。広島県呉市では2017年と比較して骨粗鬆症予防プロジェクトが発足してから2020年のレセプトデータでの解析で統計学的に減少したとのことでした。ビタミンD不足が日本人は圧倒的に多いので補充が必要ですが腎機能に気をつけて使用することを強調されました。骨密度を見ながらビタミンDの補充に加えて骨吸収抑制剤のビスホスホネート製剤、デノスマブを投与して骨折リスクの高い方には骨形成促進剤が使用されます。骨吸収抑制剤は顎骨壊死のリスクがあることは知られていますが呉市ではレセプトデータを利用して市が治療中断した人に手紙を送ったり、医科歯科連携を市報に掲載して市民に告知する取り組みをしているとのことでレセプトデータから骨粗鬆症患者で1.33人/1000人、一般住民で0.05人/1000人との結果が出たとのことでした。デ又ノスマブ長期投与後中止されると骨密度が急激に低下して骨折リスクが2倍以上になるデータも示して頂きました。

骨形成促進剤に関して古い骨の新陳代謝やマイクロクラックを修復する(アナボリック)のが骨形成促進剤であるテリパラチド、アバロパラチドで、骨の表面に骨を作るモデリングであるロモソズマブがあります。骨折、顎骨壊死、リモデリングの患者さんにはリモデリング効果の高いテリパラチド、アバロパラチドが望ましく、大腿骨近位部骨折後の骨粗鬆症治療では人工骨頭置換術後は骨吸収抑制剤が、骨接合後にはリモデリング効果の高い骨形成促進剤が第一選択になるとのことでした。又薬物治療を行う上で添付文書の警告文書に注意しながら使用することも教えて頂きました。