院長ブログ – ページ 29

次いで私が座長で福島県立医科大学整形外科主任教授の紺野慎一先生の神経障害性疼痛に対する新たなステージを拝聴しました。紺野教授は日本だけでなく世界でも腰痛の分野の第一人者です。

痛みの定義が非器質性疼痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛に分けられ、被気質的疼痛が痛覚変調性疼痛という言葉に統一されたこと、炎症性サイトカインが慢性疼痛の原因物質となること、神経障害性疼痛は慢性疼痛の20%を占めるが脊椎由来の神経障害性疼痛を同定するためにSpine Pain DECTというツールを開発された経緯もお話しされ、慢性疼痛患者は脳の海馬など萎縮するが、認知行動療法により萎縮が改善することも教えていただきました。また福島県立医大で以前から行われているチーム医療の橋がけであるリエゾンカンファレンスを行われていること、痛みセンターを全国に広げる取り組みについてなど、多岐にわたるお話を聴かせていただきました。

 

チームで診る痛み診療セミナーが7/28ウェブ配信であり座長として参加しました。最初に桑陽病院整形外科藤本英明副院長の座長で仙台ペインクリニック石巻分院院長の川井康嗣先生の難治性疼痛に対する薬物療法〜薬が効かない理由と効かせる工夫〜の講演を拝聴しました。日常臨床における慢性疼痛で痛覚変調性疼痛のカテゴリーに当てはまる方が多く、恐怖回避思考の方が多く、患者が医療者任せの方が多く、セルフマネジメントができない、服薬アドヒアランスが不良であるといった特徴があります。メテオロパシー(天気痛、気象病)も慢性痛の一つです。パーソナルリカバリーが不良であることをプレゼンティズムといい問題になっています。生活不活発病の場合は社会参加をすることが改善に繋がります。薬物療法における診察前の問診を受付、看護師さんがしっかりした後医師による患者さんの個々に合わせた薬剤選択処方を行い処方の解説や支援をスタッフが補充することで患者に処方の理解が得られる4ステップチームアプローチを教えて頂きました。セルフマネジメントの成功のコツとして自己効力感を高めることも教えて頂きました。

医療系の小説で映画化もされた知念実希人氏の仮面病棟は知っておられる方もいると思いますが私も小説で彼の病院を舞台に展開される小説を読んでその医療の描写とスリリングな展開にハマった1人です。今回オーディブルで彼の「崩れる脳を抱きしめて」を聴いています。研修医で父が家族を捨てて出ていったことをバネに医師となった主人公が研修先の病院の余命数ヶ月の入院患者の部屋に毎日行くこととなり様々な出来事を通して彼女に恋していく恋愛小説でもあります。あまり恋愛ものは好んで読まないのですが知念実希人氏のこの作品はミステリー性とドラマ性がありオーディブルの声優さんの声が当てはまって作品に没入できます。まだ途中ですが毎日クリニックの往復に車で少しずつ聴いています。

先日山口市小郡地区に猿が出没しているとのニュースが全国的に報道されました。うちの墓参りに行くお寺に猿をよく見かけたりしましたが民家に入ってきて被害を受けたということが話題になりました。小郡地区では戸締まり注意の喚起が回覧板で回ってきました。赤ちゃんを連れた行こうとしたなどの噂も飛び交っており物騒なことですが戸締まりにはくれぐれも注意したいものです。

実は徳地の卵かけご飯の後に気になっていた蕎麦屋さんにも初めて行ってきました。徳地そば茶屋雅です。11時開店でなくなり次第閉店とのことで11:30に行きましたが既に駐車場が一杯でしたが少し待って現地に行くとそこでさらに30分ほど待ちました。天ざる蕎麦を夫婦2人でシェアして食べましたが非常に美味しかったです。食事を終わって12:30には売り切れの旗が出ていました。


連休最後の日に以前から気になっていた徳地のとりたまの里に初めて行き卵かけご飯を食べました。11時前でしたがお店は盛況でしたが順番制限などあり、採れたての生卵も売ってあり皆さん買っておられました。久しぶりの生卵かけご飯を堪能しました。

 

7/13 ウェブで獨協医大麻酔科の山口重樹教授の「経皮吸収型製剤が変えるNSAIDsの未来」の講演を拝聴しました。経皮吸収型製剤いわゆる湿布薬は第1世代、第2世代があり、第3世代としてこれまでの経皮吸収局所作用型から経皮全身作用型の製剤が開発されました。分子量が小さく脂溶性が適度に高く融点が200度以下というはり剤の条件に合致して、副作用が少ないのが特徴です。ジクロフェナック入りの経皮全身作用型の製剤がこれまでガン性疼痛の適応から腰痛症、頸肩腕症候群、肩関節周囲炎、腱鞘炎に適応になったとのことでその効果の報告も提示されました。患者さんにとって選択肢が増えるので今後適応を選んで処方を検討したいと思います。

臨床整形外科研修会の続きです

次いで大阪大学整形外科の蛯名先生の高齢関節リウマチの特徴と対策ーコホート研究より考える治療最適化ーの講演を拝聴しました。関節リウマチの自己免疫異常に伴う関節炎疾患で年間1.5万人に発生し現在も25%が関節破壊が進行するそうです。

リウマチ診療のゴールは臨床的寛解、構造的寛解、機能的寛解を目指します。HAQ0.5点以下を長期持続することが治療の目標とのことでした。近年関節リウマチ患者さんの高齢で発症が増加しています。肩膝肘の大関節罹患は即効性のある治療が必要とのことでした。サイトカインであるIL6が増加すると血小板が増加し炎症反応上昇、貧血進行、中和抗体促進、破骨細胞促進するのでリウマトレックスの効果が効きにくいことがあり、生物学的製剤のトシリズマブ使用は効果が高かったそうです。

感染症のリスクはステロイド5mg以上で高くなるのでトシリズマブ投与することでステロイドの減量が可能とのデータもお示しされました。リウマチの治療のゴールは炎症反応を0にするのではなく患者さんをハッピーにすることとのポリシーにも感銘を受けました。最近注目されているJAK阻害剤はIL6受容体に関しては半分くらいしか抑制できない、インターフェロンアルファが抑制されることで腫瘍には注意する必要があるそうです。

最後に関西7大学で1万名の患者データを共有する取り組みを紹介されました。JAK阻害剤はバイオ製剤より有害事象が高い結果でしたが高齢者においては疾患活動性、大関節罹患を配慮して治療しますがIL6阻害剤であるトシリズマブは治療継続率が比較的高いとのことでした

7/9山口グランドホテルで臨床整形外科研修会がありハイブリッド開催でしたが会場で聴講しました。

最初の講演は山口大学整形外科の関寿大先生の膝関節におけるスポーツ障害・外傷の治療についてでした。膝前十字靱帯損傷、半月板損傷、軟骨損傷のお話でした。前十字靭帯損傷は10000人に8人の発生率で女性に多く股関節内転内旋位、足関節外旋に固定され膝外反下腿外旋され生じ、自然経過では早期に変形性膝関節症が発生します。手術は自家腱による再建術が行われ、正確な骨孔作成が必要で術後のリハビリは2週で全荷重開始して8ヶ月でスポーツ復帰を目指すとのことでした。半月板損傷は外側は若年者に多く内側は加齢と共に増加し、外側半月板損傷は円盤状半月板損傷が多く手術を要します。以前は半月板切除が圧倒的に多かったのですが最近は縫合術が多くなっています。(それでも29%)先生の豊富な症例のビデオを見せて頂きながら解説して頂きました。外傷性関節軟骨損傷の治療は自家培養軟骨移植を行われておられ治療の選択肢として有用とのことでした。

今後の診療に活かしていきたいと思います。