12/10 産業医慢性痛セミナーをウェブで拝聴しました。産業医大人間工学研究室の榎原毅教授の「長時間座位による腰痛と人間工学的予防対策」が特に印象に残りました。身体不活動とは身体活動、運動を行わない状態でまさに座位行動であり高血圧、喫煙、高血糖に次ぐ第4の健康リスクとして注目されています。長時間座位は腰痛発生リスク(成人では1.24倍)になりますが前向き研究では関連性ない報告が多いとのことでしたが、3時間以上の座位行動は腰痛の悪化に関連し、座位時間を減らすことは筋骨格系の痛みを減少させることに関連するとのことでした。日本は平均時間が世界の中で長く(6時間)、自己申告よりスマホなどで計測すると一日平均11.2時間(仕事+仕事外)と長いそうです。長時間座位に伴う腰痛に対する人間工学的アプローチとして以前は椅子のデザインを工夫していましたが、最近では作業時間、デスク環境、眼精疲労、精神疲労なども加味してアプローチするそうです。座位時間を減らすためのアプローチとしてsit-stand workstation(座位と立位でのデスクワークができるような環境づくり)などがありますが、まだ十分なエビデンスはないとのことです。また身体活動をウォッチやスマホでモニターして可視化すること、在宅ワークでは座位時間、立位時間を自分で決定する自律性を持たせることで身体不活動の改善につながるとのことでした。日本人間工学学会では自律的管理ツールとして「7つのルール」を提唱されており20-20-20ルール(20分近くを見たら20秒間20フィート離れたところを見ましょう)など紹介されていますので是非参照ください。
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