院長ブログ – ページ 105

5/23佐賀大学医学部整形外科 園畑教授の運動器の疼痛に対する薬物療法というインターネット講演会を拝聴しました。

サプリメント、外用剤はエビデンスなし、ヒアルロン酸注射は海外では末期に使用するので推奨されていないそうです。内因性痛覚抑制機構には内因性オピオイド系と下降性痛覚抑制系があります。脊髄後角の第二層にノルアドレナリンはGABAやグリシンを抑制し、Aδ、C線維の興奮を抑制します。セロトニンは脊髄後角の第二層に65パーセント抑制します。卵巣摘出したラットでは脊髄後角のセロトニン受容体が減少します。下降性痛覚抑制系に作用する薬剤はノイロトロピン、リリカ、サインバルタ、トラマドールがあります。

サインバルタの著効例の提示や人工股関節置換術の術前鎮痛剤を内服しない率が57パーセントであり、処方についての説明不足、不十分な副作用対策、適切な薬剤選択ができていない、運動療法の重要性の説明と理解不足が原因だそうです。神経障害性疼痛に対する薬剤の効果を理解し、患者さんの痛みを上手に抑えて運動療法を導入することを最後のテイクホームメッセージとされました。


 

5/22クリニック終了後に慈恵医大整形外科の斎藤先生のウェブ講演を拝聴しました。

海綿骨骨は新陳代謝が盛んで年間40パーセント、皮質骨は年間5-7パーセント入れ替わる、何歳であっても治療介入一年で骨折予防効果は50パーセント以上であるとのことでした。

骨強度=骨密度(70パーセント)低下プラス骨質(構造)(30パーセント)であり、ビスフォスフォネートで骨密度増加しても椎体骨折が発生したり、骨密度正常でも骨折する骨粗鬆症があり、生活習慣病(DM,CKD,COPD,)では骨密度が高くても骨折することを念頭におくことが重要です。

骨皮質 は鉄筋コンクリート に例えられ、鉄筋はコラーゲン、コンクリートはミネラルになります。

未熟成熟架橋 =善玉架橋、老化架橋=悪玉架橋AGE (ペントシジン )=錆サビ  と言われており、加齢と共にAGE増加  して過形成(硬くて脆い)され、コラーゲン架橋 鉄筋=足場  異常起こるとアパタイト配列異常が生じます。エストロゲン欠乏すると 骨吸収亢進 プラス酸化ストレス亢進します。

骨折患者は未熟成熟細胞の低形成プラス老化型AGE架橋の過形成(過剰に老化したコラーゲン)、活性酸素増加と酸化ストレス増加して

悪玉善玉架橋の解離が大きいほど骨折しやすいとされます。現在骨質マーカー として血中ホモシステインと血中尿中ペントシジンがありますが保険適応外です。

日本人は低骨密度型5:骨質劣化型3:低骨密度+骨質劣化型2の比率であり、DM HbA1c7、5以上

腰椎・大動脈石灰化スコアリングACS6以上  (2椎体以上)は骨質劣化の指標になるそうです。

FRAXプラス骨質マーカーの 尿中ペントシジン高値で早期治療の適応を決定することも将来可能だそうです。

薬剤の中でSERMは骨吸収抑制作用はマイルドだがビスフォスフォネート製剤と同等の骨折予防効果プラス骨質劣化要因(酸化ストレス、ホモシステイン)を改善できるとのことでした。
 


 
ゴールデンウィーク明けから先週末にかけてリハビリ室の配置換えと受付カウンターの大改装を行いました。リハビリでの待ち時間の短縮のためにスタッフが知恵とアイデアを出してくれました。まず理学療法士の部署をリハ室の一番奥に集約して、リハビリ室のカウンターを広くして専用のレジを置きました。これにより会計が早くなり、物療の流れもスムーズになり患者さんからはご好評をいただいています。
最初の一前がビフォーで次の二枚がアフターです。



 

第4回九州沖縄地区OLS研究会ウェブセミナーが開催され拝聴しました。一般講演は熊本機能病院の古川先生の歯周病と全身疾患の関連性〜医科歯科連携に向けて〜という演題でした。歯周病とは歯垢(プラーク)や歯石に存在する歯周病菌が歯肉炎症を起こし、さらに歯周病に進行し歯周ポケットが生じて歯がぐらぐらになり抜歯が必要になる疾患です。喫煙、ストレスの多い生活、歯ぎしりなどの生活習慣は危険因子で、加齢とともに歯周病は増加します。歯周ポケットはプローべで3mm以上が異常です。歯周病と糖尿病、骨粗鬆症、社会心理的なストレスなどが関係しますが、対策としては口腔内ブラッシングや保湿などがあります。い歯科と骨粗鬆症の関連についてはビスフォスフォネート製剤内服有無の連携が重要でできればビスフォスフォネート製剤の前に歯科受診をすることが大切で、連携のとれるかかりつけ医をもつことも強調されました。口腔ケア依頼書も紹介されました。熊本県では県医師会が県歯科医師会と病診連携しており、登録してある歯科を紹介したり勉強会もされているそうで羨ましい限りです。次いで健愛記念病院整形外科の池田聡先生の「できる!医科歯科連携ー遠賀中間地区の場合ー」を拝聴しました。顎骨壊死の報告は2003の論文の36例の報告が最初でほとんどが悪性腫瘍の高カルシウム血症の治療薬によるものがほとんどで骨粗鬆症治療薬による顎骨壊死は1例でしたがマスコミで大きく取り上げられたことから2010年に日本でビスフォスフォネート関連顎骨壊死(BRONJ)のポジションペーパーが発行されました。骨吸収抑制関連顎骨壊死(ARONJ)と称されビスフォスフォネート剤投与3年未満でリスクファクターが高い、ビスフォスフォネート投与3年以上は抜歯優先が望ましいとされました。ARONJの予防を目指して池田先生の地区では医師会に働きかけて医科歯科共通の診療情報提供書を作成されました。利用状況は40パーセント代とのことでした。昨年ARONJのポジションペーパーが変更されました。それによると骨壊死を伴った慢性骨髄炎であること、投与前に歯科受診を勧め、ビスフォスフォネート剤の一時中止で顎骨壊死の発生リスクを減少できるそうです。抜歯後は2カ月の休薬が望ましいとのことでした。抗生剤(グレースビット)の有用性についても明示されました。遠賀中間医師会ではお口のチェック表や診療情報提供書など紹介されました。骨粗鬆症患者は歯周病のリスクが高いこと、テリパラチドで顎骨壊死が治癒した報告もあるそうですので正しい情報を医科歯科ともに共有する必要があるということも教えていただきました。

特別講演は岸川整形外科の岸川院長の「腰痛疾患のメカニカルな診断と治療ー椎体骨折の痛みを評価するツールのご紹介ー」でした。岸川先生はマッケンジー法を行う整形外科有床診療所の院長先生です。興奮している神経の数で異なるので脊椎洞神経の刺激される腰痛のみか神経根まで刺激され下肢痛まで放散するか?が変わります。骨粗鬆症患者でビスフォスフォネート製剤で骨密度が増加しない場合にビタミンDが低下している場合が多いのでビタミンDを併用すると骨密度が増加する場合があるとのことでした。椎体骨折の保存的治療として非荷重で約1週間安静にして寝返りが痛くなければギャッジアップを行い、その後ギプスまたはコルセット装着して離床されるそうです。その間も体幹、下肢のエクササイズを行うことも紹介されました。入院施設がある病院も参考にして頂きたい内容でした。

 

5/10 クリニック終了後大急ぎで宇部まで行き慢性疼痛セミナーイン山口に参加しました。

5/10クリニック終了後宇部のアナクラウンホテルで慢性疼痛セミナーに参加しました。山口大学整形外科の寒竹講師の「慢性腰痛症の治療の現状と課題」について拝聴しました。日本の腰痛治療の現状について話され、運動器慢性疼痛治療の現状調査の結果、疼痛ありが15パーセントで2000万人以上で、女性に多く、30〜50才に多く、大都市の方が多く、デスクワークの方が多いという結果でした。治療は診療所が60パーセント、民間療法が20パーセント、半数が未治療で1/3は現状に満足していないという結果でした。患者満足度に関してはマッサージなどの民間療法の方が高いという結果も示されました。慢性腰痛は侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛(65パーセント)、心因性疼痛の混合であることを念頭において治療に当たる必要があります。2016年の神経障害性疼痛薬物治療のガイドラインでSNRI(セロトニンーノルアドレナリン再取り込み阻害剤)であるドュロキセチチンが推奨されており、作用機序や副作用について教えていただき、慢性腰痛症でNSAIDSの効果不十分、腰部脊柱管狭窄症の神経障害性疼痛でリリカが効果不十分の時に適応があるとのことでした。慢性腰痛症の運動療法については高いエビデンスがありますが特定の運動は推奨されていないのが現状ですが、日本でも背筋、腹筋訓練と臀筋ハムストリングのストレッチを組み合わせてNSAIDSと同等の効果を有した日本のLETスタディを紹介されました。

ついで島根大 学整形外科の内尾教授の「変形性膝関節症の薬物治療の有効性と課題」の講演を拝聴しました。日本の高齢化率は27、5パーセントで都会で今後増加してきます。運動器疼痛の中で変形性膝関節症の割合が腰痛の次に多く、メカニカルストレスが関節軟骨に影響を与え、関節裂隙は年々狭小化してくるとのことでした。変形性膝関節症の患者さんの疼痛は膝痛が初発症状で立ち上がりやしゃがみこみなど日常生活に支障を与え、62パーセントが家事に支障をきたし、半数が家族に迷惑をかけると考えていることがわかってきました。膝痛とX線重症度と必ずしも相関せず、日常生活動作の制限とも相関しない結果がわかってきました。膝痛の疼痛管理は重要で疼痛メカニズムとしてメカニカルストレスと炎症性メディエーターが関与しています。膝の外ぶれなども良い例だそうです。関節痛は侵害受容性疼痛が主体ですが慢性刺激による感作があることや膝の関連痛もあること、膝周囲の痛覚過敏があることなどは下降性疼痛抑制系の関与が考えられ、変形性膝関節症の患者さんは下降性疼痛抑制系の機能低下を生じており疼痛残存の原因となり、このメカニズムについて整形外科医も認識不足、認識の乖離があり、痛みの原因を医師から年のせいと言われたり、筋肉の衰えと言われるとあきらめ、苛立ち、不安を有すると治療満足度が低くなり、痛みの破局的思考が生じると痛みの慢性化を生じやすくなります。変形性膝関節症の患者さんの希望は除痛であり、薬物治療で痛みを和らげると運動療法ができるようになります。変形性膝関節症の薬物療法においては初期の痛みにはコックス2阻害剤などはNSAIDSで対処しますが(SMOADS)3ヶ月以上の慢性疼痛には下降性疼痛抑制系を賦活するドュロキセチチンなどの選択肢を考えるとのことでした。デュロキセチチンは当初はうつの薬でしたがうつを除外した直接鎮痛疼痛抑制効果も証明されました。内尾教授は変形性膝関節症発症初期にはNSAIDS、ヒアルロン酸関節内注射を行い3ヶ月以上経過して疼痛の取りきれない方にデュロキセチチンの適応があり、それでも取りきれない時にオピオイドを考えるという薬物治療体系を提示されました。

クリニック終了後山口銀行山口支店で指認証の登録を行いました。キャッシュコーナーで実際にできるかやってみましたが成功しました。山口銀行が金融機関では国内初とのことです。

 
5/3は下瀬りんご村のドッグランに行きました。いつも愛犬のトリミングでお世話になっているメジエールさんの主催で10家族30匹ぐらいの愛犬たちが集まりました。リンゴ園は花が咲いており二つのドッグランがあり、どちらも盛況でした。バーベキューも行われ、愛犬たちのレースも行われ楽しみました。いつもは外出しないで留守番の長男しろも連れて行き満足そうでした。
5/4はクリニックで仕事に励みました。
先日待合室の後ろの方に飾ってある額を好感しました。季節の変わり目に患者さんが持ってきてくださいますので展示しています。非常に力作ですので受診された方は是非観て頂ければ幸いです
4/28診療終了後にやまがた循環器内科クリニック院長、おざさ皮膚科院長と毎年恒例の3人会を開きました。当院の敷地内の3つのクリニック内での近況を報告し、親睦を深めました。山縣先生、小篠先生、お疲れ様でした。来年もまたよろしくお願いします。