院長ブログ – ページ 102

高血圧症は世界で11億人、我が国で4300万人存在し、降圧薬療法は脳血管障害を40パーセント、心筋梗塞を20パーセント減少するそうです。死亡の危険因子の第一位である喫煙についで高血圧が二位、三位は低い身体活動(運動不足)ですので高血圧の治療は非常に重要です。前期高齢者(65-74才)で高血圧が66パーセントで降圧薬を服用していない人(放置)が24パーセント存在することは問題です。高血圧は収縮期血圧140mmHg以上、又は拡張期血圧90mmHg以上と定義されています。家庭血圧(朝起床後1時間以内排尿後、朝食前、座位1-2分後に二回測定して平均をとる)が診察室で測る血圧より優先されます。家庭血圧が13585mmHg以上あれば仮面高血圧(10-15パーセント)として薬物療法を開始します。降圧目標は14090mmHg未満とし、心血管系のリスクが高い糖尿病や蛋白尿陽性の慢性腎臓病では13080mmHg未満を目標にします。生活習慣の修正では16グラム以下の減塩、BMI25未満の減量、有酸素運動、節酒、禁煙指導が必要です。降圧薬治療はカルシウム拮抗薬、ARB(アンジオテンシンII)阻害剤、ACE(アンジオテンシン転換酵素)阻害剤、利尿薬、β遮断薬を単剤から開始し、効果を見ながら調整するそうです。服薬管理で残薬の確認も重要とのことでした。治療抵抗性高血圧は専門医紹介が必要となることがあります。心不全は以前は心臓の左室駆出率低下などの左室収縮機能障害で生じると言われていましたが、最近では左室拡張機能障害に起因するそうで、心房細動は脳卒中の発症率が48倍ありますので、脳卒中予防のため抗凝固剤を使用します。

 

認知症は我が国で530万人と言われており、2025年には五人に一人となる700万人を超えると言われています。老化とは生物学的には成長から成熟という段階をえてやってくる退縮過程のことで高齢期の正常変化です。老化の4原則とはすべての個体に現れる、各々の個体差が多い、同一個体内で臓器により老化に差がある、非可逆的であることです。認知症とは正常に発達した知的機能が、脳の後天的な器質性変性により生じる症候群で、意識障害がなく、記憶障害、判断力の低下があり、社会生活や対人関係に支障を来し、脳の器質的疾患の存在が確認(うつ病を否定)されることで診断します。代表的な認知症とはアルツハイマー型(認知症の50-60パーセントでアミロイド沈着が主)、脳血管性、レビー正体型(早期よりパーキンソン症状、幻視、レム睡眠時の異常行動、うつ状態)、前頭側頭型(ピック病)、その他に分類されます。甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、高次機能障害、ビタミン欠乏症など可逆性の疾患にも生じます。認知症の症状は脳細胞の損傷で生じる中核症状(記憶障害、見当識障害、理解・判断力の障害、実行機能障害、失行・失認)と行動・心理症状(問題行動、周辺症状、妄想、幻覚、不眠、徘徊、攻撃的、不潔行動、介護への抵抗、異常行動など)を整理して理解します。抗認知症薬は4種類あり、中核症状に対して使用しますが根本治療薬はありません。認知症の人に対する対応の基本は援助者の気持ちが当事者に伝わることに留意することだそうです。

日本医師会主催のかかりつけ医研修会に参加しました。脂質異常症、糖尿病、高血圧症、認知症、禁煙指導、健康相談、在宅医療、介護保険、服薬管理についてテレビ会議での講演を拝聴しました。動脈硬化の進展にはプラークが形成され、プラーク破綻、血栓形成へと進行します。危険因子として高LDL血症、高血圧、糖尿病、喫煙、内蔵型肥満が危険因子であり、それらの包括的管理が必要です。人間ドックでも高TG血症が24年で37倍に増加しており心筋梗塞の発症増加にも関与しています。脂質異常症の診断基準はLDLコレステロールが140mgdl以下、HDLコレステロール40mgdl以上、トリグリセライド150mg以上、non HDLコレステロール170mgdl以下です。non HDL コレステロールは食後でも評価可能とのことでした。一次予防では非薬物療法が基本ですがLDLコレステロール180以上では薬物療法でまずLDLコレステロール管理を目指し、達成後はnon HDLコレステロール管理を目指します。高LDLコレステロール血症には飽和脂肪酸摂取制限、トランス脂肪酸摂取制限、コレステロール摂取制限を指導する。薬物療法にはスタチン、小腸コレステロールトランスポーター阻害剤、陰イオン交換樹脂、プロブコール、フィブラート系薬、多価不飽和脂肪酸、PCSK9阻害剤などがあり、それぞれ効果と副作用を加味して使用します。高LDLコレステロール血症にはスタチンが第一選択であり、コントロール不良の場合には専門医紹介が必要です。LDLコレステロール/HDLコレステロールが25以上では心筋梗塞発症リスクが上昇するので治療が必要です。女性の高LDLコレステロール血症では食事、運動療法が優先されます。高齢者の高LDLコレステロール血症ではスタチン投与が一次予防二次予防に有用です。フレイル(虚弱)は心血管イベントの危険因子で、スタチンはサルコペニアの誘因とはいえないとのことでした。

 

糖尿病は男性で8年、女性で11年短縮し、50年で35倍増加しており、早期発見、早期からの対応が重要です。糖尿病の治療の目標は血糖、体重、血圧、血清脂質のコントロールと合併症の予防が重要です。糖尿病と糖尿病予備軍を合わせると2050万人と言われています。糖尿病は1型、2型、その他の特定機序、妊娠糖尿病の4つに分類されます。1型で中年以降発症のSPIDDMもあり、劇症1型糖尿病も注意が必要です。2型糖尿病はインスリン分泌低下とインスリン抵抗性に分類され、空腹時血糖126mgdl以上、HbA1c65パーセント以上などで診断されますが正確にはブドウ糖負荷試験が必要です。後頭部から肩の皮膚の浮腫性硬化、手掌腱膜の肥厚収縮するドュプイトレン拘縮、項部頸部腋窩に黒褐色の色素沈着などはインスリン受容体異常症Aを疑う初見です。糖尿病性末梢神経障害は足の痺れ、アキレス腱反射消失、足関節内果の振動覚低下のうち2項目で診断されます。足のつりにタウリン酸や芍薬甘草湯、セルシン眠前2mgなども有効です。糖尿病性網膜症は緑内障に次いで視力障害の二位ですので毎年眼科検診が必要とのことです。糖尿病性腎症も糖尿病発症から5-10年で起こリ透析後の予後も悪いので血糖、血圧、脂質管理、禁煙、減塩が予防に重要です。収縮期血圧が高いと冠動脈疾患発症リスクが上昇し、LDLコレステロール、トリグリセライド、HbA1c増加が脳梗塞発症リスクが上昇します。唾液分泌量が減り、歯周病の発症も悪化しやすく、飲酒喫煙ストレスなど生活習慣の関与が大きいです。糖尿病患者の5パーセントがNASH(非アルコール性脂肪肝炎)を発症します。急性合併症で糖尿病性ケトアシドーシス(血糖300mgdl以上で意識障害も合併)、高血糖高浸透圧症候群(著しい脱水)、足の感染症は重篤化しやすく注意が必要です。薬物療法は内服薬はインスリン抵抗性改善系、インスリン分泌促進系、糖吸収排泄調節系に分類されわが国では安全性に優れ制約の少ないDPP4阻害剤が主流になっています。

7/28 クリニック終了後に湯田で当院で二か月間研修した理学療法士の卵の学生さんの送別会がありました。兵庫の出身なので残念ながら地元で就職希望だそうですが、マッケンジー法や足底板には興味を持ってくれたそうですのでぜひ講習会に行ってくれることを期待しつつ送り出しました。林部長が非常に熱心に教えてくれている姿には感心しました。
7/26 クリニック終了後、5年に1回の保健所立ち入り検査を受けました。開院時から二回目ですが少し緊張しましたが、書類関係もそろえていましたが、抜けていたところもあり色々教えて頂きました。5年後は指摘されたところを改善して万全を期したいと思いますが少しホッとしました。

7/21 RAエクスパートミーティング イン 山口があり参加しました。山口赤十字病院膠原病内科の民本先生の内科的合併症を有する関節リウマチの治療について講演されました。関節リウマチの肺病変は死因の14を占め リウマチの疾患活動性が関与します。気管支拡張症の患者さんに生物学的製剤を使用すると肺病変の生じる確率が増加します。肺炎でも通常型間質性肺炎、非特異性間質性肺炎、びまん性肺胞障害、器質化肺炎など様々なパターンがあり、症例を提示されながら教えて頂きました。潜在性結核感染症はステロイド製剤で2-3倍、生物学的製剤で4倍発生率が高くなるので検査後リスク高い場合は抗結核剤(イソニアジド)を使用します。非結核性抗酸菌症も増加しているそうで既存の気道病変、間質性肺炎の既往が発病の危険因子だそうです。生物学的製剤使用では25倍の発病率があります。ニューモシスチス肺炎は真菌感染症で発生率は04パーセントぐらいで低いのですが死亡率は10-29パーセントと高いので注意が必要です。高齢発症の関節リウマチはリウマチ性多発性筋痛症の合併が多くリウマトレックスも有効だそうですが生物学的製剤も使用されるそうです。。PETCTで腰椎棘突起、坐骨などに集積することも特徴だそうです。

7/19 第2回上田塾がありました。上田先生から前回の復習と様々な気付きを教えて頂きました。またブレインストーミングも2グループに分かれて行われ盛り上がりました。


 
この学会の楽しみは懇親会の催し物にあるといっても過言ではありません。毎年担当県の先生方が趣向を凝らされます。今回は日本大学のチアダンス部の本格的なチアリーディングと浅草のサンバチームによるダンスに魅了されました。
私の発表は第二会場で無事終わりました。来年は鹿児島であり、座長の依頼があるので楽しみです。
7/15から東京に行き7/16-17で日本臨床整形外科学会に参加および発表を行いました。
整形外科開業医の参加が最も多い学会ですが結構学術的な発表も多く、臨床の場で役立つ情報も多いです。
肩こりのシンポジウムでは山田朱織先生の発表が秀悦でした。肩こりの治療戦略として難治性肩こりに第一選択にしてほしいのが枕の選択であり、60000人の治療から枕でスムーズな寝返りがあると症状改善するとのことでした。身長体重肩幅が重要で、至適臥位姿勢  は枕と寝台調節で決まる、立位でS字がよいとされるが臥位では直線化するとのことでした。枕を選ぶ基準は高さ  硬さ  再調整の必要性であり、二年に一回は必要とのことでした。臨床研究から仰臥位の頚椎傾斜角15度であることを証明されるなど先生のバイタリティーには脱帽でした。当院でも行っているマチワイヤーを開発された町田先生の 外来で必要な陥入爪、巻爪の治療の講演もよかったです。爪はゆっくり矯正することが大事で、マチワイヤーは日本形成外科学でも第一選択になっているそうです。マチガター という陥入爪の時に使用するシリコーンで糸で固定するものも開発されたそうです。巻爪の原因は詳細は不明ですが爪は指先に外力がかからない(床反力が加わらない)と巻くので、IP外反拇指  外反拇指   扁平足   第4中足骨短縮症(マレット趾)麻痺足 寝たきりは爪が巻きやすいそうです。毛髪と爪は同起源 であり、爪は何の為にあるか? という問いに指先の応力を分散する、ひっかける(爬虫類)、走る(馬の蹄)、つかむ(平爪)ヒト   象やラクダは爪がない、爬虫類はかぎ爪であることも紹介されました。陥入爪の原因は深爪で巻爪に伴う陥入爪は難治性だそうです。(隠れ巻爪)
整形外科脊椎領域における感染症治療の国際医療福祉大学整形外科 石井賢教授の講演では、脊椎手術感染症 は日本で0、9パーセント 、インプラント手術 で6、8パーセント  で、米国で1、9パーセントという報告があります。消毒の始まりは術後の創の化膿は細菌による汚染であることがわかってから始まりました。手術後感染症予防のガイドラインが本年改訂されました。感染症に性差はなく、61歳以上の感染率は約3倍、喫煙は危険率は2倍、アルコールはエビデンスなし、ステロイド、免疫抑制剤使用は約2倍の感染率だそうです。血糖は手術前後に200未満にすることを推奨されています。手術前日シャワー、アルコール消毒を推奨されており、術中イソジン洗浄も推奨されているそうです。手術前の抗生剤投与は強く推奨され、手術後の抗生剤は推奨されないとのことでした。化膿性脊椎炎の早期診断には造影MRIが必要で、保存的治療で改善しなければ手術になりますがMRSA感染症は治療難治性ですが最近では大網移植も行われているそうです。手術では後方に最少侵襲手技で後方固定を併用して早期離床を図るそうです。アクネ菌が感染症の原因になるそうです。
また皆川先生のエコーの講演では超音波ガイド下hydroreleaseについてトピックスを紹介され、刺激を受けました。

 
7/8 防府で山口県立総合医療センター整形外科部長の田中先生の還暦祝いに参加しました。総勢30名近い参加者で大いに盛り上がりました。田中先生のお人柄のなせる業と感銘を受けました。久しぶりに会った先輩後輩とも語り合いました。

7/7 防府整形外科フォーラムに参加しました。山口県立総合医療センター整形外科の吉田先生〜デノスマブを中心に〜が関節リウマチにおける骨粗鬆症の現況についてという講演をされました。関節リウマチは骨粗鬆症のリスク因子で半数が骨粗鬆症と言われています。関節リウマチの治療薬の進歩により活動性は上がりましたが骨折頻度は変わっていないとのことでした。関節リウマチ患者さんのデノスマブの骨粗鬆症治療効果についての報告でした。骨粗鬆症治療薬はデノスマブの使用率がが28パーセントで、デノスマブは骨密度変化は腰椎でも大腿骨近位部でも他の薬物治療より有意に改善し テリパラチドとの比較は腰椎では同等との結果でした。生物学的製剤併用群では大腿骨近位部ではより骨密度が上昇が期待できるという結果でした。

次いで弁護士の宗像先生の医療安全の観点から見たインフォームドコンセントと患者に対する説明という講演を拝聴しました。医療安全の中にインフォームドコンセントが含まれているそうです。医療行為にはリスクが伴うという医療の不確実性があります。医療安全は存在するリスクを適切に管理できることであり、医療リスクマネジメントという言葉に置き換えてもらってもいいそうです。患者さんに対する説明は医療機関が行う必要がありますが、医療従事者は内容を説明することを通じて患者さんがリスクを引き受けることをサポートする必要があります。説明の相手方は患者さん本人で、説明する事項は患者さんの身体状況、病状、実施しようとする医療行為の内容、当該医療行為があればその内容と利害得失、他に選択可能な医療行為があればその内容と利害得失、予後ということです。実際のインフォームドコンセントの内容の紹介で、1、病状 2、手術の目的と期待される効果、3、手術の具体例な方法、4、あらかじめ了承いただきたいことなど5、手術に伴う避けられない合併症及び不利益、6、代替可能な他の手術や治療 7、治療を行わない場合に予想される経過  8、個人情報の取り扱い  という具体例な同意書についても紹介されました。非常にわかりやすくクリアカットに説明していただきました。