臨床整形外科研修会の続きです
次いで大阪大学整形外科の蛯名先生の高齢関節リウマチの特徴と対策ーコホート研究より考える治療最適化ーの講演を拝聴しました。関節リウマチの自己免疫異常に伴う関節炎疾患で年間1.5万人に発生し現在も25%が関節破壊が進行するそうです。
リウマチ診療のゴールは臨床的寛解、構造的寛解、機能的寛解を目指します。HAQ0.5点以下を長期持続することが治療の目標とのことでした。近年関節リウマチ患者さんの高齢で発症が増加しています。肩膝肘の大関節罹患は即効性のある治療が必要とのことでした。サイトカインであるIL6が増加すると血小板が増加し炎症反応上昇、貧血進行、中和抗体促進、破骨細胞促進するのでリウマトレックスの効果が効きにくいことがあり、生物学的製剤のトシリズマブ使用は効果が高かったそうです。
感染症のリスクはステロイド5mg以上で高くなるのでトシリズマブ投与することでステロイドの減量が可能とのデータもお示しされました。リウマチの治療のゴールは炎症反応を0にするのではなく患者さんをハッピーにすることとのポリシーにも感銘を受けました。最近注目されているJAK阻害剤はIL6受容体に関しては半分くらいしか抑制できない、インターフェロンアルファが抑制されることで腫瘍には注意する必要があるそうです。
最後に関西7大学で1万名の患者データを共有する取り組みを紹介されました。JAK阻害剤はバイオ製剤より有害事象が高い結果でしたが高齢者においては疾患活動性、大関節罹患を配慮して治療しますがIL6阻害剤であるトシリズマブは治療継続率が比較的高いとのことでした