2/17山口市医師会館で令和3年度小児救急地域医師研修事業講演会があり医師会の救急担当理事でしたので総合司会として参加しました。テーマがオミクロン株アップデートというホットな内容でした。
最初に山口県環境保健センターの調所長のオミクロン株の性質と感染対策についての講演でした。コロナウィルスはスパイクタンパクが特徴的ですがその変異ウィルスとしてアルファ、ベータ、ガンマ、デルタに次いでオミクロン株があり感染力の強さとして武漢株で1人の患者が2.2人に感染させるそうでしたがデルタ株は5-9人、オミクロン株は10人以上という強い感染力があることでした。デルタ株の最終検出は1/4ということで以後はオミクロン株とのことです。
オミクロン株は潜伏期間2-3日程度で発症するので拡大が早いという特徴があります。山口県内では第6波が1月中旬から急拡大して緩やかに減衰しています。病床使用率は1/26の55%をピークに減少しており中等症以上の患者数は17%で第5波に比べて低い水準ですが感染者数は中々減少していないとのことでした。発症から10日でPCR陽性でも感染力は0になるそうです。(PCR陽性は必ずしも感染性ありではないとのことでした)その根拠から国の退院基準は発症から10日ですが高齢者、関節リウマチの治療者、がんの化学療法中では感染力月遅延することもあるそうです。3回目のワクチン接種の効果(発症阻止率)はオミクロン株にファイザー、モデルナとも有効とのことでした。オミクロン株にはBA1,BA2がありますが県内ではBA1が多くBA2の広がりは見られていないとのことです。
県内で病院内でクラスターが発生した例ではマスクをせずに多くの人と会話したことから感染の連鎖が始まっており殆どが発症日にPCR陽性となっており、医療スタッフからの感染の広がりはなかったそうです。抗原キットは流行期でない時は陰性になる時もあり種類によって検出率が異なるそうです。ゲノム解析をすることで県内の流行株の変遷の把握や感染リンクの追跡、患者クラスターの特定などがわかるとのことです。
次いで国立病院岩国医療センター守分先生がオミクロン株は地域の総合力の重要性を明らかにしたをオンラインで拝聴しました。
デルタ株の時は家庭内感染が多く小児の入院肺炎例もあり喘息の既往は危険因子であるとのことでした。オミクロン株の流行前に11月末から診療体制を整備され検査キットの確保、職員の年末年始の移動制限、米軍基地関係者との接触を制限することなども注意喚起したそうですが年末年始の成人式などで感染が拡大したそうです。臨床症状では潜伏期間1-3日で発症し咽頭痛後発熱、めまいが多く味覚障害は少ないそうです。岩国医療センターでは症状がありPCR検査、抗原検査で陽性であればオミクロンと診断して治療開始する方針で治療にあたられたそうです。高齢者で慢性肺疾患の方は発症から重症化が早いので要注意とのことです。又小児の感染ではデルタ株の時より概ね軽症でしたが中枢神経障害(脳症)の患者さんも提示されました。