山口県臨床整形外科講演会 そのニ

次いで高知大学整形外科の池上教授の「変形性膝関節症の新展開」の講演を拝聴しました。変形性膝関節症治療の第一は運動、教育、減量で次いで装具、リハビリ、投薬、関節内注射があり最終的に手術があります。軟骨以外の骨硬化、萎縮、骨髄浮腫、筋萎縮、滑膜炎などの病変があります。加齢と共に自然免疫が活性化することを免疫老化というそうです。PRP治療は高知大学では6割有効であったそうです。最近出たジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウムの関節内注射も鎮痛効果に期待できるそうですがアナフィラキシー反応に注意が必要です。骨髄浮腫は軟骨下骨に起こるマイクロダメージで病期が進行しやすく荷重が関与するので加重制限が最も効果あるそうです。骨粗鬆症合併の変形性膝関節症ではビスホスフォネート製剤で人工関節を3割抑制できることも教えて頂きました。又変形性膝関節症で中枢感作が1/3に存在するので運動療法、デュロキセチンが有効とのことでした。特発性大腿骨骨壊死に半月板断裂と軟骨下骨病変が関与していること、最近注目されている内側半月板後根断裂にmeniscotibial ligamentが先行していることなども教えて頂きました。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。