第129回山口県臨床整形外科講演会ーその1 関節エコーと共に歩む関節リウマチ診療を拝聴

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7/10 山口グランドホテルで第129回山口県臨床整形外科講演会があり参加しました。久しぶりのリアルの講演会で改めていいものだと思いました。最初に長門総合病院整形外科の谷先生の関節エコーと共に歩む関節リウマチ診療を拝聴しました。谷先生は山口県のエコー診療の第一人者で関節リウマチ診療でも著名です。関節リウマチのパラダイムシフトとしてリウマトレックス、生物学的製剤を使用して早期に関節リウマチの治療をして関節破壊を防ぐ治療が主体となり関節エコーの不要論が提唱されたそうですが、臨床の現場では短期に骨破壊が進行する症例があり、炎症反応陰性でもリウマチの滑膜炎が持続する例があることからやはりエコーは有用性があるとのことでした。関節リウマチ以外のリウマチ性多発性筋痛症、ウイルス性、感染性関節炎などを鑑別する必要がありエコーも有用なツールですがあくまでも臨床症状との総合的な診断が必要とのことでした。先生の治療方針はリウマチ発症前の生活に戻ることを考えておられるそうです。生物学的製剤を使用していても骨破壊が進行する例もあり患者さんにエコーを見せることで治療の選択を共有されるとのことでエコーで滑膜炎を消失することを目標に治療されているとのことで、エコーガイド下の関節内注射も併用されているそうでした。エコーの血流の存在は関節破壊の予後因子になるとのことで投薬の増量、変更、手術適応などの治療方針の決定にも使用されるそうです。リウマチ患者さんの痛みの鑑別として関節破壊に伴うもの、滑膜炎によるもの、痛みの中枢感作、他の運動器疾患、関節可動域制限の軟部組織によるものもあり、鑑別にもエコーが役立つとのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。