山口県臨床整形外科医会研修会

1/16の山口県臨床整形外科医会の研修会の続きです。 次いで松野リウマチ整形外科の松野先生の「整形外科外来における関節リウマチの診断と治療」を拝聴しました。関節リウマチの治療の歴史から始まり坑リウマチ薬、MTX、バイオ製剤、最近注目されているJAK阻害剤に至りリウマチ治療は臨床的寛解から構造的、機能的寛解(骨破壊改善)を目指せるとのことでした。リウマチの診断基準はACR/EULARの基準が標準で早期診断、早期治療を行うとのことでした。血液検査で早期診断にはリウマトイド因子より抗CCP抗体が有用とのことでした。リウマトイド因子は高齢者は10-25%陽性、抗CCP抗体は結核の30%に陽性であることに注意が必要とのことでした。又MMP-3は発症一年以内から上昇し関節破壊を反映するので感染との鑑別にも有用ですがステロイド使用すると上昇するとのことでした。関節リウマチの鑑別診断としてウィルス感染に伴う関節炎(パルポウィルス)、乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症などが頻度が高いとのことでした。抗核抗体は染色パターンで疾患特異抗体の種類を限定できるそうです。注意すべきは全身性エリテマトーデス・MCTDのジャクー変形(関節破壊がない脱臼)、全身性硬化症(強皮症)の末節骨の骨吸収(acroosteolysis),混合性結合織病(MCTD)の抗UI-RNP抗体陽性,RS3PE症候群、サルコイドーシス、リウマチ性多発筋痛症の特徴も解説して頂きました。又関節エコーでのパワードップラーの変化も早期診断に有用とのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。