骨粗鬆症セミナーに参加しました

イベニティセミナー イン福岡があり参加しました。町田慶泉病院整形外科の上野先生の「OVF治療における骨粗鬆症治療の重要性」を拝聴しました。(新鮮でも陳旧性でも)椎体骨折があれば次の骨折のリスクが3倍になり骨折連鎖の起こる確率が高く骨折数が増えるほど日常生活動作が障害されるので骨密度が正常でも早期骨粗鬆症治療が推奨されています。椎体骨折が2カ所以上、圧潰の高度例では骨形成促進薬が推奨されます。椎体骨折は保存的治療が原則ですが骨癒合せずに強い疼痛、神経障害がある場合手術になるので、新鮮骨折に骨形成促進剤での治療介入が推奨されます。BKP(バルーン椎体形成術)は低侵襲治療ですが続発性骨折発生が高くなりこちらも骨形成促進剤のテリパラチドが続発性骨折頻度を低下できます。先生の臨床研究の結果でBKP後の骨折発生率はテリパラチド、ロモソズマブともビスフォスフオネート製剤より有意に低下し遠隔椎体骨折の発生率を減らし、ロモソズマブは椎体、大腿骨近位部の骨密度増加率が高く、特に遠隔椎体骨折発生率を防止効果が高い結果よりBKP術後の骨形成促進剤の中でもロモソズマブが理想的であるとのことでした。(一年以内の心血管イベントには注意する必要があります)先生は新鮮椎体骨折の場合は前治療ない場合は椎体骨密度が70%以上の場合はテリパラチド、70%未満はロモソズマブ、前治療がある場合はロモソズマブでの治療をされるとのことで今後の参考になりました。

次いでそうえん整形外科の宗園先生の「脆弱性骨折予防の観点に基づく最新の骨粗鬆症薬物療法」を拝聴しました。橈骨遠位端骨折は50代、椎体骨折は60代後半、大腿骨近位部骨折は70代後半から急激に増加します。5年生存率は脊椎骨折、大腿骨近位部骨折後近年低下していますが椎体骨折は最初の骨折後治療介入が重要です。薬物療法でエビデンスが高いのはSERM,リセドロネート、アレンドロネート、テリパラチドですが、非椎体骨折ではテリパラチド、デノスマブ、ロモソズマブになります。ロモソズマブは一年以内の心血管イベントでは注意する必要がありますが最近のデータではテリパラチドよりむしろ少ないという結果を教えて頂きました。骨粗鬆症治療効果の判定には骨代謝マーカーを測定をしますが骨質を計るマーカーは現在ないので骨密度(腰椎よりも大腿骨近位部の方を推奨)で判断するとのことでした。ゴール達成に向けた治療目標としてTスコア-2.5以下は3-5年以内に50%以上増加すると骨折後治療開始はできるだけ早期に開始することが望ましいですが途中で休薬できるのはビスフォスフオネート製剤のみで他の薬剤は原則他の薬剤(ビスフォスフオネート)で継続することが望ましいとのことでした。

最後にパネルディスカッションで「Goal Directed Treatmentを目指した骨粗鬆症治療」について討論がありました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。