第9回山口中央OLS研究会

10/5 松政で第9回山口中央OLS研究会があり参加しました。広島記念病院看護部部長の渥美先生が「まず院内で始めよう骨粗鬆症リエゾンサービス」の講演がありました。呉共済病院で骨粗鬆症リエゾンサービスを構築された経験を元にお話しされました。初発骨折の対応と再骨折予防、最初の脆弱性骨折の予防を目標にして2016年から骨粗鬆症サポートチームを発足され骨粗鬆症教室、骨粗鬆症リエゾンサービス委員会にグレードアップされていった経緯を教えて頂きました。呉市と協力して健康イキイキ講座として生活習慣病との関係に取り組まれ、院内連携、病病連携、病診連携を構築され、今回赴任された病院で胃がん患者の骨粗鬆症リエゾンサービスを構築していく取り組みも紹介されました。

次いで呉共済病院副院長の寺元先生の「さらに地域へ広めよう骨粗鬆症リエゾンサービス」を拝聴しました。呉市は高齢化率36%(山口市29%)と高く、呉市は医療介護需要がすでに減少傾向にあるとのことでした。高齢者の骨折は歩行レベルの低下とせん妄、認知症も合併すると予後が不良となります。大腿骨近位部骨折は2040年にピークとなりますが整形外科医の数は増えておらず整形外科医は忙しくなるとのことでした。次いで呉市骨粗鬆症重症化予防プロジェクトとその効果について教えて頂きました。呉市では糖尿病性腎症重症化予防事業が認められデータヘルス計画に骨粗鬆症も対象になったそうです。山口市のデータヘルス計画でも糖尿病性腎症重症化予防はデータヘルス計画に入っていることも教えて頂きました。呉市骨粗鬆症重症化予防プロジェクトの結果骨粗鬆症のビスフォスフオネート製剤の発生率が1000人に1人というデータを示されました。医師会から行政(地域保健対策協議会)や歯科医師会、薬剤師会との連携を構築され、医科歯科連携としてパノラマ写真のAI診断の取り組み、医科歯科薬科連携としてお薬手帳に注射シールを貼ることも紹介されました。行政との連携は骨粗鬆症治療の継続、骨粗鬆症検診事業率の上昇の取り組みとして呉市での65才での歯科無料パノラマ写真撮影による骨粗鬆症スクリーニングの取り組みを教えて頂きました。治療中の患者の継続啓発として調剤薬局でのアンケート、口腔ケアの啓発などを検討され、ハイリスク層、治療中断者をレセプトから市が抽出してダイレクトメール、電話等での受診勧告する取り組みではデノスマブ中断例で1/3で再開することで骨折の発生を予防できた結果もお示しされました。骨粗鬆症重症化予防の為に呉市の取り組みが全国に広がることを期待を強くしました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。