9/28山口グランドホテルで山口県臨床整形外科医会講演会があり参加しました。竜操整形外科病院の高柴先生が「私の膝と言ってもらうために」という演題で講演され、慢性疼痛の原因の一つでもある変形性膝関節症について教えて頂きました。変形性膝関節症の保存的治療で非ステロイド性消炎鎮痛剤が多く使用されていますが胃腸障害、腎機能障害に気をつけること、非オピオイド鎮痛剤の副作用では嘔気、眠気、ふらつき以外に便秘も気をつける必要があることも強調されました。人工膝関節置換術は除痛、機能改善をもたらします。特に近年ではスポーツ復帰例も多くなり患者満足度も高くなるとのことでした。先生は内側側副靱帯を温存することで靱帯バランス、インプラント設置位置を工夫されているとのことでした。
次いで岡山大学運動器疼痛センターの鉄永先生の「腰痛症に対するオピオイド診療~オピオイド誘発性便秘も含めて~」を拝聴しました。慢性疼痛を多職種でできる集学的治療の利点として患者さんの訴えを聞いて問題点を炙り出し、患者さんの向き合い方として目と耳と心で聴くと教えて頂きました。痛みには感覚的な側面と情動的な側面があり、痛みが慢性化するメカニズムをわかりやすく解説して頂きました。非ガン性慢性疼痛の治療目標は痛みをゼロにすることではなく日常生活における障害の改善と痛みの軽減であることも強調されました。慢性疼痛の薬物療法の中で弱オピオイド鎮痛剤は侵害受容性疼痛と神経障害性疼痛に効果がありますがファーストチョイスではないこと、適応を限定すること、特に意欲の低下に気をつけることなど副作用とそのマネジメントも教えて頂きました。また弱オピオイド鎮痛剤の副作用の中の(オピオイド誘発性)便秘について特に詳細に教えて頂きました。ブリストル便形状スケール、便秘治療には生活改善(運動、食生活、ストレス)が必要で運動による疼痛緩和には内因性疼痛修飾系か賦活化されること、緩下剤の種類と併用注意(ビタミンD3製剤と酸化マグネシウム、腎機能低下例での高マグネシウム血症など)も勉強になりました。