運動器疼痛講演会

6/30ジクトルテープ(経皮吸収型 持続性疼痛治療剤)記念講演会があり参加しました。四方先生のジクトルテープの使い処の講演の後、福島県立医大二階堂先生の腰痛に対する薬物療法の現状と未来、名古屋大学医学部今釜教授の腰痛を含めた運動器のエビデンスの講演を拝聴しました。
二階堂先生の講演から非特異的腰痛の治療は侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、痛覚変調性疼痛を病態生理学的変化を認識して薬物治療する必要があり、腰痛の神経障害性疼痛は20%前後あります。薬物療法は鎮痛効果が得られることは望ましい効果ですが有害事象などは望ましくない効果もあるので益と害を見極めて治療することが必要とのことでした。
今釜先生の講演では脊髄髄内腫瘍や靭帯骨化症の術後疼痛は脊椎外科にとって永遠の課題で近年の低侵襲手術の紹介をされました。慢性疼痛は高齢者は特に老化による廃用性障害とサルコペニアが関与しており、第3の痛みとして痛覚変調性疼痛が注目されています。名古屋大学の八雲町の住民検診の結果で神経障害性疼痛の危険因子として歩行機能不良、腰椎後弯、BMI低下などがあり、痛みが強いと抑うつ、中枢性感作が強いデータをお示し頂きました(一般住民の中枢性感作は5-8%とのことでした)。日本整形外科学会などがフレイルロコモ予防宣言を行い、健康日本21でもロコモフレイル予防が入っています。慢性腰痛に薬物別効果の結果、薬物療法の費用対効果はそれぞれ高いという結果、診療時間と満足度の結果、不良因子として高齢、神経障害性疼痛、罹病期間が長いなどがあるとのことでした。慢性腰痛にNSAIDSとプレガバリンの2剤併用治療は下肢痛と睡眠の効果が高かったことも教えて頂きました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。