第5回痛みの行動医学研究会

12/3第5回痛みの行動医学研究会をウェブで拝聴しました。東京慈恵医大 加藤悦夫先生は最近心理社会的疼痛に変わって提唱された痛覚変調性疼痛に対して、脳中心主義的痛みの理解へのパラダイムシフトに基づく慢性痛の再考、痛みを脳による生存適応制御機能の一つととらえなおすこと、倉田二郎先生は慢性痛の脳内機構には下行性疼痛修飾(抑制)系の減弱、報酬系の減弱に加えて、痛み反芻(痛み消失後に中側頭回に痛みの幻影が暴走)抑制系の減弱半球間抑制系(脳梁間ネットワーク:pain  eraser)の減弱が関与しており、痛みが消失するのは侵害受容の消失ではなく脳が積極的に痛みを消すからとの解釈を提唱されました。九州大学細井昌子先生は痛覚変調性疼痛にミクログリアと幼少期の母子分離や社会的敗北ストレスの関与もあることを教えていただきました。まだまだ解明の余地がある慢性疼痛について考えさせられる機会になりました。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。