12/3第5回痛みの行動医学研究会をウェブで拝聴しました。東京慈恵医大 加藤悦夫先生は最近心理社会的疼痛に変わって提唱された痛覚変調性疼痛に対して、脳中心主義的痛みの理解へのパラダイムシフトに基づく慢性痛の再考、痛みを脳による生存適応制御機能の一つととらえなおすこと、倉田二郎先生は慢性痛の脳内機構には下行性疼痛修飾(抑制)系の減弱、報酬系の減弱に加えて、痛み反芻(痛み消失後に中側頭回に痛みの幻影が暴走)抑制系の減弱半球間抑制系(脳梁間ネットワーク:pain eraser)の減弱が関与しており、痛みが消失するのは侵害受容の消失ではなく脳が積極的に痛みを消すからとの解釈を提唱されました。九州大学細井昌子先生は痛覚変調性疼痛にミクログリアと幼少期の母子分離や社会的敗北ストレスの関与もあることを教えていただきました。まだまだ解明の余地がある慢性疼痛について考えさせられる機会になりました。