山口県臨床整形外科研修会に参加

1/14 18:00から山口県臨床整形外科医会が山口グランドホテルで開催され参加しました。最初に山口大学整形外科講師西田周泰先生が非骨傷性頚髄損傷のバイオメカニクスについて講演されました。山口大学の服部の分類から脊髄のバイオニクス研究を発展させて西田先生のグループは3次元モデルによる高齢者の脊髄は若年者より脊髄応力が増加すること、圧迫骨折のバイオメカニクス解析などを紹介されました。又シミュレーションのための人体モデリング、医工獣産学連携の為の取り組みをお話されました。先生がコロナ禍での海外留学の経緯も興味深く拝聴しました。骨折の伴わない頚髄損傷の軟部組織(椎間板、前縦靱帯、後縦靱帯、黄色靱帯、棘間靭帯など)のバイオニクスでの研究結果、マツダとの共同開発による衝突事故のバイオニクス研究など多彩な研究をされていることを報告されました。

次いで小郡第一病院服部泰典副院長の手外科のcommon diseaseの講演がありました。更年期の女性の手の障害をmenopausal handと言われているそうです。その中で手根管症候群について臨床症状、電気生理学的検査、治療について解説されました。手根管内のトリアムシノロン注射は効果がありますが神経毒性や神経損傷に注意する必要があるそうです。手術は鏡視下手術と直視下手術がありますが鏡視下手術は再手術例や抗凝固剤中止困難例は適応外とのことでした。小郡第一病院での手根管手術は80%以上は鏡視下で行われ、高齢者が増加する傾向があるとのことで母指球筋萎縮がありつまみ動作が困難な場合には対立再建術も適応になります。先生が従来の対立再建術であるカミッツ法の変法を開発され紹介されました。次いで変形性関節症でへバーデン結節の手術治療、母指変形性CM関節症のステージ分類と手術的治療、ブシャール関節の手術治療(シリコンインプラントによる人工関節置換術)を教えて頂きました。先生の沢山の症例から関節の固定角度、術後のリハビリが重要であるということがよく理解できました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。