臨床整形外科 脊柱側弯症の診断と治療のポイント

10/15山口グランドホテルで臨床整形外科研修会で山口労災病院脊椎脊髄病センター長の寒竹先生の「脊柱側弯症の診断と治療のポイント」を拝聴しました。脊柱側弯症は側方彎曲に伴い回旋変形を伴うことが特徴で特発性が6-7割を占めます。遺伝子因子と環境因子が関与しますが遺伝的要因が大きいとのことです。9才以下を早期発症、9才以上を思春期発症と分類され、胸椎カーブと胸腰椎カーブ(右凸が多い)、腰椎カーブ(左凸が多い)に分類されます。早期であれば足底板で脚長差を調整して側弯の進行を改善することも可能だそうです。前屈して背部の肋骨突出(リブハンプ)を確認します。X線立位正面像で彎曲の頂点同士に平行線をひき垂線を立てて交わる角度をコブ角といい10度以上を側弯状態、20度以上を側弯といいます。治療としては定期的X線撮影でコブ角の進行を確認してコブ角25度以上の場合には装具療法を行いますがさらに進行性の場合には手術を検討するとのことです。装具治療の成功率は装着時間に相関することがエビデンスとされています。手術は成長終了前のコブ角45度以上のカーブや成長終了後の50度以上とされており脊髄のモニタリングを行いながら椎弓根スクリューとロッド(支柱)を用いて側弯回旋変形を行う後方固定術を選択されます。注意すべきは男児、腹壁反射異常、10才未満の側弯、ダブルカーブなどはMRIを撮像し小脳扁桃が下垂するキアリ奇形と脊髄空洞症を合併する場合は先にキアリ奇形の手術(後頭下減圧術)を行って側弯の改善を認める場合もあるそうです。側弯の診断から手術までわかりやすく教えて頂きました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。