山口県医師会健康スポーツ医学実地研修会が7/1山口県医師会館で行われました。当院の理学療法士も参加してくれました。慶應義塾大学スポーツ医学総合センターの松本秀男教授のストレッチングの理論と実際という講演を拝聴しました。
ストレッチとストレッチングの使い方の違いは特にないそうです。ストレッチングの定義は筋肉を伸ばすこと、筋トレの定義は筋肉の収縮を繰り返すことで筋肉を肥大化することで、可動域訓練は関節の動きをよくすることです。ストレッチには静的と動的ストレッチ、バリスティックストレッチに分類されます。ストレッチングの効果は柔軟性の向上、怪我の予防、パフォーマンスの向上、疲労回復、リラクゼーションなどの効果がありますが、エビデンスの検証が必要です。慶應大学では臨床研究により静的ストレッチングで筋の厚さは減少し、筋の硬度は大きくなり、ストレッチング直後は有効であることをエコーのエラストグラフィーで証明されました。ストレッチングを毎日行うことが有効か?をピラティスとレジスタンストレーニングのみ行う群と比較した結果、両者ともインナーマッスルの腹直筋の筋肥大、柔軟性が得られましたがアウターマッスルの筋肥大、皮下脂肪、柔軟性、運動自体の意識の変化(達成感など)はピラティスの方がいい結果でした。又相撲力士の四股踏みをモーションキャプチャーを用いて科学的検証をした結果、股関節周囲筋のストレッチングの効果がありました。スポーツ外傷と障害の違いについてわかりやすく解説して頂きました。
次いで実地研修として慶應義塾大学スポーツ医学総合センターの健康運動指導士の堀澤先生の中高齢者に対するストレッチング指導の実際について研修がありました。健康運動指導士は全国で18000人いるそうで、理学療法士、アスレチックトレーナーの中間に位置するそうです。最初にレクチャーがあり、一分間の背伸びを毎日30日行うことで副交感神経活動を亢進する(リラックス効果高まる)という論文があります。身体不活動が世界の死因の第四位という論文があるように、運動と生活活動を合わせて身体活動と定義されています。アクティブガイドによる振り分けも紹介されました。ストレッチングは身体活動の低強度に分類され、有酸素運動(メタボの予防)、レジスタンス運動(ロコモの予防)、ストレッチングを組み合わせます。中高齢者のストレッチングの目的は柔軟性を高めて関節の可動域を上げることで日常生活動作の向上とQOL(生活の質)の向上です。生活動作における関節の可動域には膝と股関節の可動域が重要になります。ストレッチングの強さ、姿勢などはエビデンスがなく、高齢者においては最低週二回、中強度で大きな筋肉の静的ストレッチングが好ましいということで、ストレッチングの時間は一回20-30秒程度で痛みのない範囲で回数は1-3回行うことを勧められていました。その後実地研修があり実際にストレッチングをしながら学びました.