脊椎の痛みを学ぶ会 in 山口

脊椎の痛みを学ぶ会 in 山口が国際ホテル宇部であり参加しました。山口大学整形外科の岡崎先生によるアロディニアに対するリハビリテーションの効果についての発表がありました。先生の研究されている動物実験について紹介され、疼痛評価、疼痛行動学的評価があり歩行解析としてのcat walkより進んだ3次元歩行解析での結果、遊脚期に優位に患側が長く、ステップ長が長いこと、脚が高く上がらないことからリハビリテーションプログラムとして60パーセントの運動強度で40分のトレッドミルのリハビリテーションを行った結果、組織学的にも効果を認め、アロディニアはリハビリテーションで改善する可能性を報告されました。
次いで山口大学整形外科鈴木先生による「非特異的腰痛の診断と腰椎椎間関節症」について発表されました。山口県腰痛スタディとして臨床整形外科と山口大学整形外科が共同研究した結果を英文としてもまとめられ、最近注目されています。腰痛の85パーセントが非特異的腰痛であるという従来の認識でしたが、323例の腰痛患者の解析で整形外科専門医による診断で特異的腰痛が78パーセントであり、その中で腰椎椎間関節症が18パーセント認められ、その特徴的身体所見としてケンプサインや圧痛点などの組み合わせで診断ができるということでした。治療として山口大学で行っている電気焼灼術の紹介もあり55例の治療成績は50ー70パーセントの有効で持続効果は平均12ヶ月あったとのことでした。
最後に日本大学医学部整形外科の徳橋教授による「腰痛症治療における最新の話題」について講演を拝聴しました。日本の腰痛ガイドライン2012は急性から慢性まで含めたもので急性、慢性腰痛の定義や分類として非特異的腰痛、特異的腰痛に分類され、慢性化の危険因子として社会心理的要因が大きなウェイトを占めること、非特異的腰痛は侵害受容性疼痛評価と神経障害性疼痛の混合型であることなどが取り上げられました。腰痛の診断に問診が重要であることを強調されました。患者さんが今日の受診で何に期待しているか?ということも重要であるとのことでした。又外傷性椎間板ヘルニアの発生には大きな外力が必要であり、MRIで椎体の骨挫傷などが描出される場合有力な診断になることも教えて頂きました。急性腰痛に長期安静は禁であること、薬物療法に関しては次回のガイドラインで変更の可能性があることをお話されました。運動療法に関しては慢性腰痛には運動療法が有用であること、腰痛には手術と運動療法で優位性はない、高齢者の脊柱変形で中高年になってからの変性の進行するタイプが問題で発生率が約20パーセントで、進行すると腰椎後側弯による全身症状があり、左凸の腰椎側弯に医食道逆流症が多いことなど教えて頂きました。
山口大学整形外科の脊椎外科の寒竹准教授、西田助講ともお話しでき、精力的に頑張っておられることをお聞ました。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。