慢性腰痛症治療薬としてのデュロキセチン塩酸塩の効果と限界を拝聴しました

「慢性腰痛症治療薬としてのデュロキセチン塩酸塩の効果と限界」という演題で広島赤十字原爆病院病院整形外科柳澤部長が講演されました。慢性腰痛で整形外科受診は多いのですが満足度は低い、大都市の働き盛りの人に多いというデータを示されました。最近下行性疼痛抑制系の障害である中枢機能障害性疼痛という概念も出てきました。痛みの悪循環による慢性化モデルを紹介されBSーPOPなど評価法も教えて頂きました。今年出た神経障害性疼痛の薬物療法ガイドラインでリリカとサインバルタは第一選択になりました。簡易うつ病評価スケールとしておっくうな感じが二週間以上続くことを聞くことで疑うことができるそうです。慢性腰痛症の治療として運動療法、認知行動療法、薬物療法がありその中でデュロキセチン(サインバルタ)は抗うつ薬ですが慢性腰痛症に保険適応があり今後期待される薬物です。若年層以外が対象になり、先生の経験では副作用が3割ありますが容量を増加することで機能的な痛みが改善したそうです。又トラマドールとの併用はお勧めしないそうです。外来でもできる認知行動療法としていきいきリハビリノートの紹介、問題点の提起もありました。その後先生を囲んでのディスカッションもあり私も疑問点を質問して理解を深めることが出来ました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。