骨粗鬆症ウェブ講演

11/14 小郡でウェブ講演がありました。最初に鶴上整形外科の鶴上先生の診療所における骨粗鬆症リエゾンサービスの実践とそのメリットについてのウェブ講演を拝聴しました。椎体骨折の有無を問診で聞いても実際にX線写真を撮らないと80パーセントは同定できないとのことでした。骨粗鬆症の二次骨折予防のおける治療介入としては新規骨折で治療開始後継続治療されますが、既存骨折の患者さんは脱落率が高いので二次骨折は最初の骨折から2年以内に起こりやすく、特に最初の3か月に骨折が起こりやすいという患者教育が重要とのことでした。先生のクリニックでは2年間の治療計画を立て、検査計画などを骨粗鬆症マネージャーが患者さんに説明し来院予定表をカレンダーを作成して来られない患者さんには電話連絡する、骨代謝マーカーの説明、服薬のモニタリングをすることで治療継続率を向上させる工夫を教えていただきました。服薬実行率については医師は患者さんが8割程度維持していると思っていますが実際は5割に満たないとのことで薬局での服薬指導や治療脱落者を抽出してフィードバックしてもらい連携すると先生のクリニックでは8割の治療継続を達成されているとのことでした。又整形外科も内科の診療所と連携して骨密度測定のみ整形外科で行うような診診連携も紹介されました。骨粗鬆症リエゾンサービスがもたらすメリットとして患者さんには治療率、治療継続率の向上、骨折予防、患者満足度の向上などだけでなく医療機関側にもメリットがあることも強調されました。

次いで島根医大内科の金沢先生の生活習慣病骨折リスクに関する診療ガイド〜2019年版の改訂のポイントを拝聴しました。高齢者の大腿骨近位部骨折や脊椎骨折は死亡リスクを上昇させ、生命予後、医療費の増加に影響します。骨折を予防するという対策を日本骨太計画と名付けられ,ほねノミクスと名付けておられます。糖尿病と骨粗鬆症は関連があり骨質の低下と関連があるとのことでした。原因として骨の材質特性の劣化(AGE架橋蓄積)、構造特性の劣化(皮質骨の多孔化)などか合併して生じるそうです。骨密度測定のみでは骨折予防が不十分ですので問診、X線検査、血液検査などを駆使して診断されているそうです。糖尿病のコントロール不良例では約1.5倍骨折リスクが高いとのことでした。DEXA骨密度測定で70-80パーセントで2型糖尿病、慢性腎臓病(eGFR60未満)、閉塞性肺疾患では骨折リスクが高いので治療開始するとのことでした。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。