山口大学整形外科坂井教授の講演拝聴しました。


2/22山口リウマチ病診連携の会があり参加しました。山口大学整形外科坂井教授の「股関節におけるリウマチと鑑別疾患」の講演を拝聴しました。山口大学整形外科におけるRA診療のお話しがあり2016EULAR recommendationに基づいた治療に沿って治療されているそうです。ステロイド剤併用についてはできるだけ短期間にするべきとも言われました。生物学的製剤、JAK阻害剤は山口大学でも使用が増えていること、関節リウマチに対する人工関節手術は生物学的製剤が登場して股関節手術は減少していますが膝関節手術はむしろ増加していることも教えていただきました。股関節における関節リウマチと鑑別疾患として、変形性股関節症、特発性大腿骨頭壊死症、急速破壊型股関節症、大腿骨頭脆弱性骨折があり、特発性大腿骨頭壊死症についてはステロイドが関連因子と言われていますが脊髄損傷でステロイドを大量投与を受けた患者さんのMRI研究ではいなかったそうですので関連因子かは疑問だそうです。MRIで大腿骨頭壊死と診断された患者さんも専門医が診断すると別の股関節疾患だったそうですので診断には注意する必要があるそうです。又関節リウマチ単独で骨頭壊死になった例はないことも教えていただきました。坂井教授の研究で股関節疾患の骨頭の組織を調べた結果、リウマチではTRAP陽性細胞が関与が大きく、RANKL陽性は少なく急速破壊型股関節症で多かったそうです。関節液のサイトカイン濃度の研究で非血性関節液を調べた結果、急速破壊型股関節症で高く、その早期診断の期待できることもお話しされました。RA股関節に対するTHAは極力セメントは使わないそうです。再置換では大血管損傷に細心の注意を払うそうです。人工股関節置換術後の動作制限も適切な手術がされていればしゃがみこみなどの動作の制限もしないとのことでバイオメカニクス的な研究も紹介され大変勉強になりました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。