骨と関節の日のイベント

10/1 宇部市文化会館で山口県臨床整形外科学会の骨と関節の日のイベントがあり、応援にかけつけました。超音波による骨密度測定の後に小野田労災病院整形外科の富永部長の「背骨とその中にある神経について」について拝聴しました。生理機能は加齢とともに上肢より下肢の方が衰えていきます。骨には体の形態を維持するのと体の恒常性を維持する働きがあります。骨粗鬆症は骨密度の低下と骨質の低下が原因であり、両親の骨折歴や関節リウマチ、喫煙、アルコールなどが骨折の危険因子です。骨粗鬆症による骨折は手関節、上腕骨、脊椎、大腿骨頸部などがあります。脊椎、脊髄の解剖の解説をされ、脊髄損傷は最近では60才以上で多くなり、明らかな骨折脱臼を伴わない例が増加しています。腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症の違いを説明していただきました。脊椎由来の痛みに対して患者さんは痛みをとることを希望されてこられますが、脊椎外科医として痛みが残っても運動したりして痛みを和らげていくそうです。次いで宇部市整形外科開業医の先生方が前でロコモ体操を踊られそれに合わせて聴衆もロコモ体操を踊りました。

最後に山口大学整形外科田口教授の「ロコモティブシンドロームと体の痛み」の講演があり、拝聴しました。ロコモティブシンドロームは運動器の機能が低下して要介護や寝たきりになる前段階であり、全国では認知度は47パーセントですが山口県は認知度はやや低いのですが不安は多いとのことでした。日本人の平均寿命は香港に続いて二番目に多いそうです。平均寿命は0才が何才まで生きれるか?ということで平均寿命に達しても平均余命はまだあるとのことでしたが介護など必要ない健康寿命を伸ばすことが重要です。生命活動の維持にはミトコンドリアがATPというエネルギーを産生し、細胞は0、5パーセント入れ替わって維持しているそうです。老化とは活性酸素が出て細胞のコピーミスでが傷つくことです。ゾウもネズミもネコも心臓が20億回打って止まるそうですがヒトはなぜ長寿かというと活性酸素を取り除くSODをたくさん持っており、理論的には120才まで生きれるそうです。要介護の原因として運動器の障害が多く、日常生活動作の低下は男性で13、6才、女性では5、4才平均余命が短縮するそうですので超高齢者社会で運動器の機能が長寿に追いつけず、運動器の機能に対する意識改革が必要であるとのことでした。平成34年までにロコモの認知度を80パーセントまで増やすことが目標とのことでした。人の健康状態は健康と病気の間の未病の状態であります。代表的疾患で骨粗鬆症、腰部脊柱管狭窄症、変形性膝関節症があり加齢とともに合併する率が高くなります。生活不活発病ともいえるロコモティブシンドロームの予防として片足立ちとスクワットを教えていただきました。同じ部位に3週間以上続く痛みは整形外科に相談して頂くこと、治せる痛みがあることなどを分かりやすくお話しされました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。