早稲田大学の金岡恒治先生のスポーツと海外遠征についての講義を拝聴しました。
チームファシリテーション(チームの為にサポートを行うという意識の共有)が欠かせず、メディカルチェックの結果の共有が必要とのことでした。医師として活動するための手続きが必要で、出発前のメディカルチェック、感染症・予防接種(渡航先での情報をFORTH:http://www.forth.go.jp/から得る)、携行医薬品、渡航による諸問題(ロングフライト血栓症ー以前はエコノミークラス症候群と言われていましたが名称が変更されたそうです)、現地での対応を順に解説していただきました。ドーハアジア大会、北京オリンピックでは医務室に急性上気道炎、皮膚疾患、急性胃腸炎、アレルギー性鼻炎、下痢、便秘などが多かったそうです。静脈内注射は6時間あたり50mlを超えることは禁止されているそうです。
最後に産業医大若松病院整形外科教授の内田宗志教授のアスリートの股関節痛の診断と治療戦略という講義がありました。アスリートの股関節痛に対する包括的アプローチとして機能的、器質的、環境的アプローチを駆使して患者さんをリスペクトして丁寧に診察し、解剖学的なレイヤーアプローチを行う必要があります。筋骨格系以外の原因として安静時痛が特徴の閉鎖裂孔ヘルニアに注意が必要とのことでした。骨軟骨レイヤーとしてFAI(femoavetabular inpinjiment)と寛骨臼形成不全が代表的です。アスリートには比較的FAIが多いそうです。FAIには臼蓋側が出っ張っているピンサータイプ、大腿骨側が出っ張っているために生じるCAMタイプがあります。無症状では10-30パーセントぐらいですがアスリートには70-90パーセントと高率とのことでした。関節唇損傷が原因でに関与しており、骨形態異常のサインであるそうです。筋肉の付着部で筋肉の収縮により疼痛では、上前腸骨棘、下前腸骨棘、坐骨結節、恥骨結合、大転子、小転子などに生じMRIでストレスのかかる筋肉の付着部の骨に信号変化が生じます。リハビリで疼痛改善しない場合には股関節鏡視下の手術を行います。術後2-3ヶ月のリハビリ後にスポーツ復帰させるとのことでした。