チームで診る 痛みとこころのセミナーが5/18にウェブで開催され座長として参加しました。九州大学診療内科の細井先生の慢性疼痛におけるチーム医療:心理社会的因子の評価と交流のポイントのご講演を拝聴しました。新しい痛みの分類として痛覚変調性疼痛の分類を紹介され、幼少期、学童思春期、家庭や職場でのストレスなどのスリーヒット仮説と医療現場における4th ヒットとしての医療不信を生じることを示されました。小児期の虐待など家族の問題、学校でのいじめなどの問題、職場でのパワハラなどが慢性疼痛の原因となり過活動や不活動など生じるメカニズムを解説されました。実存的苦悩と身体の痛みを評価して過活動の場合にはページング、不活動に対しては自己効力感を高めたりする認知行動療法の手法も紹介され、失感情症(アレキシサイミア)、失体感症(アレキシソミア)などの解説もして頂きました。又慢性疼痛の病態分別の評価法としてPRISMという患者の病気に対する苦悩の大きさを評価する手法を用いておられるとのことでした。慢性疼痛の治療戦略として痛覚伝導系の亢進には鎮痛薬の適切な処方、痛覚抑制系の機能低下には適切な休息安心感を与えることの必要性を教示されました。
心療内科では担当医のこころの引き出し方で痛みが和らぐような治療ができるようチーム医療の重要性、心理カウンセリングによる患者の視点の変化を促していくそうです。