第二回山口中央OLS研究会が山口で開催されました。一般演題の後特別講演で健愛記念病院副院長の池田聡先生の講演を拝聴しました。高齢化率は2026年には40パーセント以上になるので厚労省は地域包括ケアシステムなるモデルを推奨しています。各診療科の患者年齢層は高齢化しており木を見るのではなく、森を見る、症候から隠れた疾患を見逃さない、などの提案をされました。骨折患者の手術を担う急性期病院でいかに骨粗鬆症治療を継続するかを考えるかが重要になります。手術後退院された患者さんが治療を中断されて再骨折する例が多々あるので患者さんの教育も必要です。高齢者の死因で多いのは肺炎ですが基礎疾患として骨折があるので 骨粗鬆症は死に至る疾患であることを伝える必要もあるとのことでした。要支援になる原因は間接疾患が多いが、要介護では認知症と骨折転倒が増加しているので、厚労省はロコモ予防に力を入れていますが認知度はまだ40パーセントにすぎません。健康寿命延伸のためにはこれからは骨粗鬆症予防が重要です。骨粗鬆症性骨折による脊椎後弯変形はQOLや呼吸機能を低下させます。骨折が治ったからといって骨粗鬆症がよくなったわけではないことを認識する必要があります。初発骨折としての橈骨遠位端骨折、脊椎骨折後の二次予防として注目されています。特に大腿骨近位部骨折の予防の為、1年後介助が必要で死亡率が20-24パーセントであり悪性腫瘍に匹敵します。治療率と治療継続が重要ですが、医師一人では限界があるので、メディカルスタッフによる骨粗鬆症リエゾンサービスなどの介入が必要です。治療開始率、継続率を上げて、死亡率を下げるエビデンスがあります。現在骨粗鬆症マネージャーは2000人以上認定されています。日本のOLSサービスは骨折患者のみでなく、骨折していな患者さんも対象で、一次骨折と二次骨折予防を目的としています。骨粗鬆症マネージャーの活動についての紹介と骨粗鬆症認定医の制度についての紹介も教えて頂きました。健愛記念病院の入院患者さんのOLSサービスを紹介され、入院時から退院時、退院後もフォローする取り組みを紹介されました。病院でのOLS実践のポイントとして施設長の承認、会議の開催など行われるそうです。2年以内に死亡例も多いのですが、医師のリーダーシップも重要です。治療評価はDEXAが必須であり、もっていない施設は病診連携で紹介する必要があります。65才以上になるといつのまにか骨折が増加することの啓蒙、骨粗鬆症治療薬のゴールとしてYAMの70パーセント以上を目標にすること、骨代謝マーカーとしてのTRACP5b、P1NP、最近保険で認められたVitDを指標にします。特に女性はVitDが不足しており、ビスフォスフォネートでも骨親和性が低いものと高いものの使いこなし方を教えて頂きました。またVitK不足は西日本では発生率が高く、大腿骨近位部骨折と相関があるそうです。顎骨壊死についても昨年出たポジションペーパーから骨吸収抑制剤投与の二週間前には歯科治療を終了しておくことが望ましいこと、先生の所属医師会との医科歯科連携としての雛形(紹介状)も提示されました。若い時の骨折と高齢者で骨折した時の意味合いが違うことも強調されました。池田先生の骨粗鬆症にかける情熱も伝わる非常に貴重な講演でした。