2/26山口県総合保健会館で第143回山口県医師会生涯研修セミナーに参加しました。九州大学小児科の大賀教授のこどもの発熱の講演の後に徳島大学医学部整形外科の西良浩一教授の発育期腰部疾患の確定診断と低侵襲治療〜非特異的腰痛の病態〜という演題でした。西良先生は腰椎内視鏡や腰椎分離症について日本での第一人者です。非特異的腰痛が85パーセントという話がありましたが腰痛に対して確定診断追求をあきらめた時に非特異的腰痛となるというメッセージが印象的でした。西良先生によると小児の腰痛の半数は腰椎分離症であるとのことでした。腰椎の前屈で痛いときは腰椎椎間板ヘルニア、後屈で痛いときは腰椎分離症であることが多いので鑑別のポイントとのことでした。ヘルニアの手術でPEDという腰の外側から8ミリの皮切で行う手術を紹介されました。高校生のヘルニア手術例も20例近くあり多数の有名アスリートも手術されており豊富な経験からのお話は説得力がありました。
また発育期特有の屈曲位腰痛としてヘルニアではなく椎体骨端輪骨折のことがあり、ヘルニアと違って自然吸収されないので手術になることが多いそうです。MRIだけでは診断困難でCTが必須です。小児の進展時の腰痛は腰椎分離症が多いです。腰椎分離症は日本人の6パーセントで発育期に生じる疲労骨折で小中高生で46〜50パーセントでMRIが早期診断に有用で進行期には滑膜炎を合併しています。両側分離症でもMRI STIR像で高信号がある方が新鮮例であり、初期で発見されればスポーツ中止とコルセット治療で3ヶ月で90パーセントは骨癒合するそうですが進行期以上になると6ヶ月かかり癒合率も低くなるので早期発見早期治療が重要です。こどもの時期のすべりは終板ですべることを留学先のアイオワ大学で証明されました。分離症で小学校低学年はすべる可能性が高いので特に女子は経過観察が必要です。先生のおすすめするジャックナイフストレッチの紹介と新しいventral central facetectomyという新しいPEDの手術術式を紹介されました。