山口県運動器疼痛を考える会がありました。講師は東京大学の松平浩先生で運動器疼痛に対する運動療法と行動療法を考えるという演題でした。山口大学整形外科の鈴木先生の山口県腰痛スタディの紹介もされました。腰痛ガイドラインに推奨されている認知行動療法についてお話されました。慢性疼痛の多層的モデルとして痛み感覚、苦悩(情動反応)、痛み行動について紹介されました。慢性疼痛は脳の機能異常で、側坐核(楽観脳)と扁桃体(悲観脳)のお互いの連携がうまくいっていない状態であるということでした。痛み行動とは痛みの存在を周囲に知らせるための行動で、顔をしかめたりする行為なども入ります。恐怖回避思考(Fear-Avoidance)モデルも説明され医療者の初回介入が重要とのことでした。Keel StarT Backスクリーニングツールが4点以上では認知行動療法の早期介入した方が医療経済的にも有用ということでした。松平先生がNHKと共同して検証された「見るだけで腰痛が改善した」紹介をされ 実際のテレビで放送された症例では、認知行動療法の観点での曝露療法を症例され、なるべく受け身の治療を止めて、回避行動を避け 自己効力感の向上を得て、健康行動を強化することを推奨されました。慢性腰痛における運動療法として理学療法士が個々のプログラムを作成して、疼痛の改善にはストレッチ系が機能の改善には筋力訓練が有用ということでした。松平先生のお勧めの運動療法はアライメント指導、深部筋の強化、内因性物質の活性化を段階的に行うことを紹介されました。65歳以上の人が長生きするための重要な行動習慣は早歩きすることであると強調され、患者さんが行動変容を起こすための明日から出来る動議付け面接法として振り返りの傾聴などを紹介されました。姿勢についても不良姿勢で腰痛肩こりの原因になり、美ポジションという姿勢指導や半座位スツール開発による腰痛軽減の取り組みも紹介されました。