近年注目されている病態として慢性疼痛があります。厚労省も注目して慢性疼痛を理解した上で治療できる施設を増やす試みを行って先日私も日本いたみ財団主催の慢性疼痛診療システム普及・人材養成モデル事業研修会にオンライン参加しました。慢性疼痛とは国際疼痛学会が治療に要すると期待される時間の枠を超えて持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛みで一般的には3ヶ月以上持続する痛みと定義されます。(ちなみに1ヶ月以内のによくなる痛みを急性疼痛、1−3ヶ月持続す痛みを亜急性疼痛と言います。)原因別分類では侵害受容性疼痛(いわゆるけがなどによる痛み)、神経障害性疼痛(いわゆる神経痛の痛み)、心理社会的疼痛(いわゆる心因性)がありますがこれらが複雑に絡んだ混合性疼痛であることが多いとされます。これまで慢性疼痛の分類は7つ(一次性慢性疼痛、がん性慢性疼痛、術後痛および外傷後慢性疼痛、慢性神経障害性疼痛、慢性頭痛および口腔顔面痛、慢性内臓痛、慢性筋骨格系疼痛)に分類されていました。今回の改定では慢性一次性疼痛と慢性二次性疼痛に分類されました。線維筋痛症、過敏性腸症候群、筋骨格系または神経障害性に同定されない腰痛、複合性局所疼痛症候群などが該当します。慢性疼痛の治療に関しては、患者さんの訴えをよく聞いて、どのカテゴリーに当たるかを認識した上で治療戦略を立てて行く必要性があります。
第83回 慢性疼痛の新しい分類
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