次いで浜の町病院整形外科の馬渡先生の骨粗鬆症治療の新しい潮流という講演を拝聴しました。九州大学における研究で大腿骨近位部骨折の骨粗鬆症治療は2割で手術後退院の時は4割という結果で1年以内に9%死亡という結果だったそうです。再骨折は1年以内に35-45%生じるというimminent fracture riskという用語を紹介されました。骨粗鬆症治療薬は効果が出るのに1年以上かかるそうです。腰椎骨密度は高齢者は変形や大動脈の石灰化で高くなることがあり注意が必要です。骨代謝マーカーは薬効評価には有用ですが治療予後は反映しないとのことでした。先生の結果ではビタミンDの中の血清25(OH)Dの値は正常は4%でほとんどがビタミンD不足とのことでした。ビタミンDはカルシウムの代謝調節だけでなく多面的効果があることがわかってきました。天然型ビタミンDは2000単位までは安全であり、ビタミンDの補充は必要とのことでした。骨粗鬆症治療薬には骨リモデリング抑制剤と骨リモデリング促進剤に分類されますがロモソズマブは腰椎と大腿骨近位部の骨密度を増加させる効果が高く、ビスフォスフォネート製剤やデノスマブより先に使用した方が骨密度上昇効果が高く、当初心配された心血管イベントについては1年以内の既往がなければ心配は少ないとのことでした。骨粗鬆症重症症例(2椎体以上ある場合)には骨形成促進剤を先に使用した方がよいということを論文も提示しながらお示しになりました。整形外科手術においても骨粗鬆症の検査と治療の重要性についても教えて頂きました。骨粗鬆症治療が人工関節の再置換を減少したという報告も紹介されコロナ時代の治療指標も示され勉強になりました。