山口県痛みを考える会

4/25山口県痛みを考える会に参加しました。NTT東日本関東病院ペインクリニック科の安部先生が慢性疼痛におけるインターベンショナル治療の役割という講演を拝聴しました。東日本NTT関東病院は日本でペインクリニックの草分けの存在で山口大学からもペインクリニックの先生が研修されています。安部先生は5代目の部長でラッツカテーテルなどの功績がある先生です。腰痛下肢痛が6割を占めるそうで疼痛治療内服薬やブロック治療をしても改善しない患者さんが多数受診されるそうですので整形外科(特に脊椎外科)との連携をされているそうです。又認知行動療法、マインドフルネスの適応を臨床心理士と相談しながら適応を決められているそうです。痛みの評価はNRS、痛みの性質は簡易マクギル疼痛質問表、他にもK6、EQ5Dを用いて多面的に評価されるそうで、痛みの治療として前向き思考の促進、運動療法による報酬系の賦活なども重要であり診断としてのブロックの重要性をお話しされました。2017年に侵害受容性疼痛や神経障害性疼痛でもないnociplastic painという新しい痛みの概念も提唱されたことを教えていただきました。最近の論文ではオピオイドが慢性疼痛で反省期に入って使用が減少していること、プレガバリンも坐骨神経痛に効果を疑問視する論文も紹介されました。インターベンショナル治療は薬物療法と手術療法の間を埋める治療であり、運動によるリハビリテーションが併せて必要であることを強調されました。自分の施設が何が得意かを明示して情報を伝えることが重要とのことでした。又腰痛の原因がhip spine syndromeによる股関節痛による症例を提示され股関節疾患による関連痛に注意して診断には股関節ブロックが有効であることも教えていただきました。インターベンショナル治療は神経根由来には高周波熱凝固やラッツカテーテル、その他の痛みには椎体形成術なども含まれ、硬膜外洗浄法、経椎間孔的又は仙骨裂孔的ににカテーテルを硬膜外に入れ造影剤を入れながら癒着を剥離していく手技を動画で紹介されました。又椎間板ヘルニアに対する経カテーテル椎間板摘出術、脊髄刺激療法の進化(バースト刺激)も紹介されました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。