信友直子監督の「ぼけますから、よろしくお願いします。」の映画上映

2/2ホテルかめ福で第25回山口・吉南地区地域ケア連絡会議・山口市介護サービス提供事業者連絡協議会の合同研修会が開催されました。私も医師会長として挨拶して参加しました。貴重講演として信友直子監督の「ぼけますから、よろしくお願いします。」の映画上映と講演を拝聴しました。信友直子監督の母親がアルツハイマー型認知症になられ、娘の視点から認知症の患者を抱えた家族の内面を描いたドキュメンタリーです。徐々に認知症が進んでいく母親の姿は心に迫るものがありました。お母様は亡くなられたそうですがお父様はご存命とのことでした。認知症になることを隠す父親と人と関わらなくなることで孤立して歯痒さから当たり散らす母親の姿が印象的でした。夫婦で口論になり2年間一人で介護してきた温厚な父親が口論で「死ね」という言葉がいたたまれなくなりましたが老々介護の現状を目の当たりにしました。映画上映の後に信友監督の講演で認知症患者自身が症状を最初に気づいて悩んでいるので介護サービスを介入することで家族の余裕が出てくることも印象的でした。

次いで仁保病院脳神経内科大堀先生の「認知症の基礎知識(今さら聞けない認知症の話)」を拝聴しました。認知症は認知機能が持続的に低下して日常生活や社会生活に支障を来たす状態で長生きすれば誰でも認知症になる可能性が高いとのことでした。認知機能障害から生活障害が進み、BADL(基本的日常生活動作:入浴、着替え、排泄など)、IADL(手段的日常生活動作:家庭内では電話、食事準備、家庭外では買い物、金銭管理など)が障害されます。認知機能低下を認めるも生活に支障をきたしていない軽度認知障害(MCI mild cognitive impairment)も教えて頂きました。

治療のターゲットは何を治したいのか?誰のための治療か?病気のステージなどの3つの視点が重要とのことでした。認知症治療のターゲットは対症療法で中核症状、周辺症状があり、BPSD(認知症の行動・心理症状)といい非薬物療法から薬物治療の順で試みます。2025年に団塊の世代が75才になり後期高齢者が2179万人に増加する超高齢者社会が到来するとのことでした。次いでグループディスカッションがあり活発な議論がありました。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。