第13回関西痛みの診療研究会 ーSILVAの病態と治療ー

12/17 第13回関西痛みの診療研究会をウェブで拝聴しました。奈良県立医大仲西康顕先生の「SILVAの病態と治療」、奈良学園大学の柴田政彦先生の「ワクチン接種後の痛みの反応ー医師がわきまえておくべき事ー」を拝聴しました。仲西先生は現在定着しているコロナワクチンの上腕筋肉注射の方法を広められたことでもご高明な先生です。SIRVA(英語ではシルバというよりサーバ)はワクチン筋肉内注射接種に伴う肩関節の傷害(肩、上腕痛や可動域制限が長期間続く)とされていますが統一された診断基準はまだないとのことでした。40-60才の女性に多く、症状は肩の痛みが94%、可動域制限31%、知覚異常(8%)、紅斑(5.5%)、肩の脱力(5%)の頻度で48時間以内に発症することがほとんどですが改善には半年を要することも多いとのことでした。三角筋滑液包炎やいわゆる40肩などの進行期であることも多く、現在の上腕を下垂する方法では腋窩神経、橈骨神経損傷はまれです。接種後の迷走神経反射など接種ストレス関連反応という病態も理解する必要性を解説していただきました。柴田先生は子宮頸がんワクチン後の症状の研究からワクチン接種と接種後の症状との因果関係は証明できないという結論になったことをお話しされ、接種後の反応に苦しむ患者さんの話をしっかり傾聴して治療に時間がかかることなど、受容と納得していただくような医療者側に姿勢を教えていただきました。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。