当院は骨粗鬆症治療に力を入れています
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当院は骨粗鬆症の早期発見早期治療に力を入れており、骨粗鬆症のかかりつけ医を目指しています
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症は骨がスカスカになり骨折しやすくなった状態です
骨粗鬆症患者は日本では推定1300万人とされますが、治療を受けているのは200万人と言われています。50歳以上の女性の3人に1人、男性の5人に1人が骨粗しょう症関連の骨折を経験し、世界では3秒に1回骨粗鬆症による骨折が生じています。
骨粗鬆症の原因は?
骨粗鬆症の原因として骨の新陳代謝(古い骨を壊し、新しい骨を作る)に異常をきたす、カルシウム摂取不足、女性ホルモン不足(閉経)が多いですが、遺伝(骨折家族歴)、生活習慣(運動不足、喫煙、偏食)、胃切除、糖尿病、腎臓病、ステロイド治療歴などもあります。
骨粗鬆症になると何が問題?
骨の強度は骨密度と骨質(コラーゲン)が関与しており、骨密度が低下し骨質が低下すると骨の強度が低下して骨粗鬆症性骨折を生じます。
脊椎を骨折すると背骨曲がるだけでなく、胃を圧迫して胃食道逆流症を生じます。大腿骨の付け根を骨折すると歩行困難となり、絶対的な手術の適応になります。また上腕骨の付け根(上腕骨近位端)、橈骨遠位端骨折も手術になることが多いです。
骨粗鬆症に必要な栄養
食事では干しエビ、サンマ、乳製品、大豆 豆腐、野菜 小松菜ひじきなどに骨粗鬆症に必要なビタミンDやK、カルシウムが含まれますがカルシウムの1日必要量は1000-1500mgです。
骨粗鬆症かもしれません!
25歳から身長4cm以上縮んだ場合、壁に背中をつけた時に後頭部がつかない場合、一番下の肋骨と骨盤の間が指2本未満であると骨粗鬆症の可能性が高いとされます。
当院での骨粗鬆症の早期診断、治療の取り組み
当院では山口大学整形外科、山口県立総合医療センター整形外科で脊椎外科専門医としての経験を生かして腰痛治療、骨粗鬆症性脊椎骨折の早期診断、早期治療に取り組んでいます。
2014年に当院に来られた65歳以上の急性腰痛の患者さん114名で脊椎骨折を疑いX線またはMRIを撮像した結果、68名(60%)が新しい脊椎骨折でした。
また2012年から2016年の骨粗鬆症患者さん1670名のうち脊椎骨折は279例(19%)でした。この結果からも当院では年間約70-80名の新鮮脊椎骨折患者さんが来院されることになります。
急性腰痛で骨折を疑う患者さんは腰痛だけではなく、臀部痛、背部痛も訴えることがあり、必ずしも骨折した部位と痛み部位が一致していない場合もあります。また寝たり起きたりするときの強い痛みも特徴的です。(2016年日本臨床整形外科で発表)
X線写真は高齢者の腰痛には必須の検査ですが脊椎骨折を以前起こした患者さんの場合にはx線写真だけで新しい骨折かどうかの診断は難しい場合もあり、MRIが確定診断には有用です。
当院ではx線写真で骨折がはっきりしなくても症状から脊椎骨折を疑う場合や以前脊椎骨折して今回も骨折が疑われる場合には、早期診断、早期治療のためMRI検査をお勧めしています。MRIは近隣の病院と病診連携を行うことで当日か翌日には撮像可能です。(提携病院:山口済生会総合病院、山口病院、佐々木外科病院等)特に山口済生会病院と山口病院とは画像連携ネットワークがあるのでDVDの受け渡しが不要です。
新鮮脊椎骨折と確定診断されたら?
新鮮脊椎骨折の確定診断がついたら骨折の治療ともう一つ重要なのが骨粗鬆症の診断治療です。当院ではこれを同時進行で行います。
骨折の治療はコルセットを作成します。義肢装具士さんに指示して採型して約3日で完成しますが、痛みが強い場合には簡易固定装具(フィットキュアスパイン)を装着します。
1ヶ月おきにX線撮像行い骨癒合が確認できれば除去します。(平均3ヶ月ですが6-12ヶ月かかる場合もあります)
骨粗鬆症の診断には骨密度測定、血液検査(カルシウム、リン、腎機能、蛋白、副甲状腺ホルモン、骨代謝マーカーで骨吸収マーカーTRACP-5b、骨形成マーカーP1NP)を行います。
骨密度測定は?
当院では骨密度測定装置(GE社PRODIGY FUGA-C)を2012年開院時からs導入していましたが2023年3月から新機種を導入しました(今までの患者さんのデータはそのまま使用可能です)
低被曝量(胸部写真の1/6)で仰向けに寝た状態で腰椎と股関節の骨密度が3−4分で測定可能です。解析時間が早くなりました。
新しい骨密度測定装置で可能になったこと
海面骨構造指標ソフトウェア(TBS)で脊椎の海綿骨の骨質の測定が可能となりました。骨強度は骨密度が7割、骨質が3割で従来のDEXAは骨密度の測定が主体でしたが、このソフトにより骨質の解析が可能となりました。これにより骨質低下型骨粗鬆症(骨密度が正常でも骨折しやすい骨粗鬆症:糖尿病など生活習慣病を合併する骨粗鬆症)の診断に近づけることを期待しています。
非定型骨折解析ソフト(AFF)で大腿骨近位部の骨密度に加えて大腿骨骨幹部の皮質骨の肥厚化を解析することで非定型大腿骨骨折危険度の早期発見が可能となりました。
非定型大腿骨骨折とは?
骨粗鬆症治療で標準的治療である骨吸収抑制剤ビスフォスフォネート製剤の長期投与により大腿骨の皮質骨に骨吸収が進行して大腿骨骨折が生じることが報告されており、当院でも5年に1回大腿骨のX線撮像を行っていました。このソフトの導入により、より低被曝で簡便に発見することを期待しています。
脊椎骨折の骨粗鬆症治療は?
X線、MRIで新鮮脊椎骨折と診断されDEXAで骨密度を測定、骨粗鬆症関連検査結果を加味して骨粗鬆症の早期治療を開始します。
当院では骨強度に関与する骨質増加の観点と骨密度上昇効果を期待して患者さんと相談の上、骨形成促進剤をお勧めしています。現時点での骨粗鬆症治療で最も多い治療は骨吸収抑制剤であり当院の2017年11月の投薬状況でも8−9割は骨吸収抑制剤を使用しています。
当院で治療した骨形成促進剤使用患者さん約500名の骨密度上昇効果は2年で平均8-12%上昇しました。
骨形成促進剤も6種類(毎日自己注射製剤4種類、週1回注射、月1回注射)ありますのでこの選択も患者さんの状況に応じて行っています。
骨粗鬆症のかかりつけ医として
当院では骨粗鬆症のかかりつけ医として患者さんの年齢、骨折の有無、骨密度・血液検査結果に基づき、スタッフも骨粗鬆症学会認定マネージャー(看護師、放射線技師)もおりますので、チーム医療でオーダーメイド治療を行っています。骨密度が低く、骨折の既往がない方は骨密度の維持、上昇と骨折の予防を、骨密度が高いが骨折の既往がある方は骨質改善と骨折予防をゴールとして一緒に治療していきましょう。